西本英理子(THE LICO)
PEOPLEText: Julie Morikawa
音楽活動以外の表現について教えてください。
基本的に音楽をしている時以外は完全な引きこもりです。映画を観たり、本を読んだり、たまに出かけては写真を撮ったりしています。とは言っても、ほとんど映画を観ています。1ヶ月に何十本も観ます。音楽以外の表現…。難しい…。やっぱり、音楽以外ではありませんね。趣味になってしまいます。
音楽を作っている時は、もちろん他のアーティストの楽曲は全く聴きませんが、ドライブする時に限っては、ライ・クーダー、トム・ウェイツ、サン・ラー、フランク・ザッパ、ザ・ラウンジ・リザーズやキャプテン・ビーフハートを好んでよく聴きます。
「BLUE」the lico x 須田俊哉 (写真家) x 門藤勇樹 (映像作家)
フランスでの生活は音楽や制作活動においてどういう影響があると思いますか?
まず、表現の自由が許されている。制限がない。変わり者なりのコミュニティーがある。自分らしく生きれる。ただ歩いているだけでも大地を感じられる。足の裏が大地を踏みしめている感覚が足の裏から頭のてっぺんまで伝わる。そして、だれもが自分勝手。そんないい加減さや繊細さが制作活動に幅を持たせてくれると思います。
ホームレスのおやじがアコーディオンを弾いている。それを誰も気にも止めない。そういうところがあまりにもいい加減で自由なのです。
あと、パリは基本的に曇り空。そんな陰鬱さが制作活動にかなり影響を及ぼしていると感じています。
音楽を制作するうえで大切にしてる事は何ですか?
自分を好きでいる事。自分を嫌いでいる事。
愛する人を愛する事。愛する人を愛さない事。
音楽を愛する事。音楽を愛さない事。
きちんと生きる事。適当に生きる事。
「DARK/LIGHT」を、どんな人に聞いてもらいたいですか?
これは投げやりでも何でもなく、誰でもいいです。ジャケットのペイントを担当してくれたペインターのOKUMAの絵を気に入ってくれた人でもいいし、私の事を気にも止めない人でもいい。PVを観て気になってくれた人でもいいし、誰にでも聴いてもらいたい。そしてその反対でもあります。
SHIFTの読者に何かコメントをお願いします。
これは、ポジティブなコメントですが、人間はかなり嗅覚に敏感な生物だと思うのですが、胸が一番締め付けられるほど切なくなる瞬間が匂いだと思うのです。私はそんな音楽でありたい。
ずっと後でも、いつでもいい。二度目に私の音楽を聴いた時に、そんなノスタルジーな感覚に陥って欲しいと思います。
the lico / DARK/LIGHT
仕様:12曲入り、計48分
発売:2011年3月
価格:1575円(税込み)
取扱:BOOK CLUB KAI(03-3403-6177)
https://www.thelico.com
Text: Julie Morikawa
