1980円(イチキュッパ)

PEOPLEText: Mariko Takei

メインの楽器に掃除機を使用するなど、家電を使った音楽パフォーマンスを音楽バンドとして、また、現代美術ユニットとして展開しているそうですが、それぞれの活動をいくつかご紹介ください。

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「いらっしゃいませ1980円」映像インスタレーション

K:この作品は「ARTS CHALLENGE」という企画展で2010年に発表しました。異常なまでに装飾され、過激なうたい文句で人々を誘惑する、大型家電ストアーを展示会場(愛知芸術文化センター)に再現するという映像インスタレーション作品です。長い間、商業作品に携わった僕らの立場から現代美術を表現したく「コマーシャルとしてのアート」というテーマで挑み、現実と虚構を、皮肉とユーモラスという切り口で表現しました。

「1980円 LIVE2010」

K:先ほどのインスタレーション作品の流れで、音楽に展開しようと考えて、掃除機とセンプウキを駆使したバンドを作りました。新しい音楽を創るという考えではなく、組み合わせで新しい価値を見出したくて、”家電ソング”と”エレクトロニカ”を掛け合わした、家電トロニカ的なドドドっとした音楽を制作しています。

T:楽器の編成も会場により変化し、例えばライブハウスでは掃除機とドラムだったり、クラブでは掃除機とサンプラー・キーボードを使ったり、流動的な形で活動しています。また家電量販店の毒々しいビジュアル感覚を表現するために、無数のLEDとダイナミックな映像を使っています。

「おまかせくださいのソナタ」 

K:某家電量販店のマッサージチェアーで、癒されるいる時にインスパイヤされた曲です。チェアーから柔らかい風と、森の香りを感じたので、ああいったメロディーになっています。

T:しかし後半になると、ガラッと曲調が変わり、突然バーゲンセールが始まり闘争本能がチカチカ点灯。バーゲン前の、静寂と轟音がテーマになってるんです。

そもそも家電に着目したのは何故ですか?

K:前述した折込みチラシの一件で、家電量販店に足しげく通いました。僕らが魅了されているものは、テレビでよく芸人さんが注目している新製品ではなくて、家電量販店にある「過剰さ」と「嘘」です。過剰な物質と過激な色彩に溢れた店内、常に購買心を煽る売り文句など、虚偽と誇大が飛び交うその毒々しい虚構の世界。

T:しかしその中にもある種の心地よさや美しさが存在がします、それらが僕らを突き動かしている原動力だと思います。

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家電以外に何を駆使して作品をつくりますか?

T:家電の音色やイメージというものをエレクトロカ・ミュージックやアートに落とし込む。というようなスタイルで作っているので、イメージを再現できるものなら何でも使いますね。「安さ」「毒々」「高揚感」といったイメージを音楽に取り入れるために、「100円ショップ」で売られているようなカラフルな量産品とか、ホームセンターで手に入るようなものを積極的に使います。

K:格安量産品ならではのチープな音、ビジュアルが非常に魅力的で、1980円の世界観を作るには欠かせないですね。逆に金がかかるようなモノはあまり好きではなくて、商業スタジオや、高級な機材などから遠い場所でやってる感じですね(笑)。DIY精神て感じすかね。

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