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マックス・ハトラー

PEOPLEText: Mariko Takei

インスピレーションとなっているものは何ですか?

グーグルやビング、壁紙や絨毯、モザイクやマンダラ、絵や写真、彫刻や建築、光や陰。抽象映像、スローモーション、モーショングラフィックス、グラフィックデザイン、デザイナー・ドラッグス、食べ物、ファッション、友人や一般的な人々。また、鉱石、石、惑星、幾何学、地理、顕微鏡、戦争と宗教。あと、本、退屈さ、興奮すること、ストレス、パニック、音楽、音、ノイズ、サイレンスや、もちろん旅行もです。

好きなアーティストや映像作家を教えて下さい。

ハンス・リヒター、ヴァルター・ルットマン、オスカー・フィッシンガーなど、特にドイツ人の初期の前衛アニメーターの作品が素晴らしいなと思っています。あと、メアリー・エレン・ビュートやドウィネル・グラント、コンピューターアニメーションのパイオニア、ジョン・ホイットニーやラリー・キューバなどアメリカ人も好きですね。これら全てのアーティストが、抽象的なものや抽象性を動画で表現し、絵を動かしたり、音楽を視覚化したり、形、色、リズムを探求するような、時間軸のある作品をつくったりしています。

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ジェマパーとのコラボレーション作品からインスパイアされたSHIFTのイメージを制作されたとか。どんなアイディアのもと制作されたのですか?

この作品は、僕の映像作品「Aanaatt」のビジュアル世界を再訪するというもので、日本から多くの影響を受けて常にシフトする環境を表現したものです。SHIFTに向けてという意味では、この作品が最適な選択だと思ったのでね。「Aanaatt」は、ロバート・サイデルとの日本ツアーの後、2008年の夏に日本のエレクトロニカアーティストのジェマパーに向けて制作した作品です。ワイデン+ケネディ トウキョウ ラボから依頼を受け、ノリコ・オカクによるアニメーションをフィーチャーしています。

ロンドンとドイツを拠点にしているそうですが、2つの異なる都市での仕事や生活で最高と思う面はどんなところですか?

現在はほとんどロンドンに拠点を置いてます。非常に忙しくて、物価が高く、いろいろ沢山あるところです。いつも多すぎるほどの展覧会が開催され、多すぎるほど沢山やることがあり、全てをカバーする時間のある人など誰もいません。でも、常に気を張りつめ何かに向かわせてくれる場所であり、ロンドンにいると世界と繋がっている感じがします。ロンドンには世界のあらゆる場所から人が集まり、そこからどこへでも簡単に行くこともできる。僕は旅行を沢山するので、5つもの空港が近場にあるというのはとても便利ですよ。それに対して、ドイツの南にある僕の地元のウルムは、山や森に囲まれた場所です。ウルムには世界一高い教会の尖塔があり、アインシュタインの出生地でもあります。当然何もなく、隠れたり、よく食べたり、よく寝たり、家族と過ごしたり、再充電したりするのに最適なところですね。

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Sync (2010 / loop / installation)

今後の予定を教えて下さい。

2011年までにいくつかあります。ブリュッセルのアニマ・フェスティバルで回顧展、ベルリンのディレクターハウス・ギャラリーで上映、リオデジャネイロのロホ・ノバでギグ、カルアーツでのワークショップ、ミュージアム・クォーター・ウィーンで2ヶ月間滞在制作など。現在は、UKのブレイクコア・アーティスト、レディスクレーパーとコラボして映像を手掛ける他、アンビエントのアニメーション作品の共同監督作品の最終段階に入ってます。どちらのプロジェクトも2011年初め頃にリリース予定です。

そして、新たなビジュアル機材「Hattlerizer」の開発があり、これはこの夏にアニメーション・ワークショップで滞在制作を行いました。その時の素晴らしいプログラミングスキルをもったSune Petersenには感謝です。ライブで行うビジュアルパフォーマンスを飛躍的に発達させた機材で、先月もトルコとデンマークのコンサートで初めて使用しました。

あと、現在は最新作の「Sync」を展示する場所を探しています。オランダ・フローニンゲンのPavlov E-Labより委託されたこの作品は、大きな魅力的なマンダラの形をした単発でループするインスタレーションです。この映像作品全ての物語とアニメーションは、たったひとつの大きなバーチャルのディスクで制作され、一つのイメージが一秒に20回転するというもの。オランダの理論物理学者と密接なコンサルタントのもと実現した作品で、全ての物事の核となる部分には不変の同期性(シンクロナイゼイション)が根底にあるというアイディアをベースにしています。

今後どのような活動をしていきたいですか?

実体験できるインタラクティブなインスタレーションを脳波ナビゲーションを使用して手掛けてみたいですね。

Text: Mariko Takei

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