ジャ・ジャンクー
この作品は観客に受け入れられると思いますか?
一般的に見やすいとされる映画の長さは90分程度ですが、この作品は2時間を超えます。私の作った作品の中で最も長いものは「プラットホーム」で、2時間45分ありました。見る側としては非常に長く、熱心なファンにしか耐えられないかもしれません。一般の観客には辛いかもしれないことは心配しています。
《海上传奇》(2010),撮影風景
ドキュメンタリー映画の興行成績は決して理想的な状況にありませんが、それについてどう思われますか?
興行成績に関しては、ここ5、6年間の中国国内のドキュメンタリー映画の上映の機会から考えてあまり楽観はできません。精力的に活動して多くの人々に劇場で作品を見る機会を提供したいと思っており、これから8つの都市を訪れてプロモーションを行います。ドキュメンタリー映画の不振の背景には、観客がドキュメンタリーに関して間違った印象を持っているという原因があると思います。人々の多くは、ドキュメンタリー映画をニュースやテレビ番組のようなものだと思っていますが、現在のドキュメンタリー映画はより多様な側面を持つまでに発展しています。残念なことに、この誤解を解くように観客に働きかけられる機会が少ないのです。この映画を通して、人々がワールドカップの結果を見るようにドキュメンタリーに好奇心を持ってくれることを望んでいます。
次回作は格闘技についての作品だとの噂ですが?
そうです。「在清朝(清朝時代)」という商業映画です。私は12年の間、社会の現実についての映画やドキュメンタリーを作ってきました。それらを一度手放して、趣向を変えてみているのです。
《海上传奇》(2010),撮影風景
最後に、ご自身は上海をどのように捉えていますか?
上海は、かつては工業の中心区として繁栄した街で、西洋で言うならパリのような存在でした。文化的にもとても優れており、魯迅、張愛玲といった偉大な作家を育んできました。演出家、映画監督や教授、大学生等も数多く暮らし、現代文化が集結していたといえるでしょう。かつての上海は、文化、物理、工業、経済、それらがとてもよいバランスで存在していた街でした。しかし今、上海の文化は以前のように豊かではなく、経済は危機を迎えています。我々はかつてのバランスを取り戻す必要があります。上海が再び刺激的な力を生み出す街になることを、私は信じています。
Text: Emma Chi
Translation: Shiori Saito
