オーストリアン・グリーン・ファッション
PEOPLEText: Daniel Kalt
Milch © Milch/Cloed Priscilla Baumgartner, photos Elvira Faltermeier
ミルヒ(ミルク)のデザイナー、クロード・プリシラ・バウムゲルトナーは1998年にこのブランドを立ち上げた。「森林伐採と不要な布の生産をなくそう」という明確な目標のもと、彼女は10年以上に渡ってリサイクル素材を用いての制作を進めてきた。ミルヒの象徴的な作品に、メンズのトラウザーやシャツ、ジャケット、ベストなどから仕立てた女性服がある。デザイナーがこれらの素材を組み合わせ作り替えることで着る者がひと目で心打たれるような全く新しい形状を生み出した製品だ。しかしこれこそが、リサイクルファッションの神髄なのである。形と洋服の脱構築と再構築によって、表現とクロスリファレンスが重なり合うポストモダン的文脈の中へと着る人そのものを刻み付ける。ミルヒの個性は、確固たる自信を持ってこうしたファッションの相互作用を世界に向けて提唱するところにある。
Alila © Alila/Barbara Lindnder
アリラはこの日本オーストリア交流年2009の企画にぴったりな、とても興味深いブランド。アリラ(サンスクリット語で「驚き」)を立ち上げたデザイナーのバーバラ・リンドナーは日本の着物や帯、また1930年代から1980年代の着物の絹を使って、「最高級リサイクル製品」という独自のアプローチを試みる。限られた数で展開されるコレクションにはスカートや特別な日のクラッチバッグなどがあり、サスティナブルなファッションを好む人々やオーストリアに数多く存在する日本文化の愛好家たちを惹き付けてやまない。
Text: Daniel Kalt
Translation: Shiori Saito
