ウォン・ティン・ヤン

PEOPLEText: Justin Tsui

廃材木。人はゴミだと言うかもしれないが、ウォン・ティン・ヤンならそこに自然の美しさを発見し、彼の魔法で面白い生き物たちが住む動物園に変えてしまう。彼は、工業地帯から持ってきた廃材の木を使って制作を行い、キュートな動物として新しい命を吹き込む。環境に優しいアート作品は、子供だけでなく大人にも人気があり、現在では家具の製作も行っている。彼の作品を家に持ち帰って、可愛い動物たちの「飼い主」になってみてはいかがだろう?

ウォン・ティン・ヤン

まずはじめに自己紹介をお願いします。

香港中文大学のファインアート科を卒業し、現在は青少年のためのアートスタジオで働いています。また彫刻家として、廃材になった木片などを使い、動物の彫刻を制作しています。

初めて廃材で彫刻を作り始めたのは2000年のようですね。最初の作品を作るに至った経緯を教えて下さい。

実は、全くの偶然だったんです。大学の卒業制作展に向け作品の材料を探していた時のことなのですが、キャンパス周辺で改築している建物がいくつかあり、そこから廃材の木を集め、しばらくその木を使って遊んでいました。そして「これが自分の使いたいメディアだ」と気付いたのです。素材として廃材の木を使う利点は、まずお金がかからないということ、そして失敗しても気にしなくていいということです。作品作りで最も大切なことは「廃材に新しい芸術作品として第二の命を吹き込む」ということです。こんな理由で最初の作品を制作してから今まで続けています。

Wong Tin Yan
中長頸鹿 Giraffe (M), 240cm(L) x 140cm(W) x 220cm(H), 2005

廃材の木は、私のお気に入りの材料です。非常に独特なテクスチャを持っていますから。荒っぽくて汚いと言う人もいるかもしれませんが、木は魅力的な物語を内側に潜めているんです。釘、ねじ、金具など多くの色々な国や文化の知恵が詰まった技術が使えるのも魅力の一つですね。スタジオも工業地帯にあるので廃材の木を集めるのにも大した苦労は要りません。

Wong Tin Yan
虎死留皮 Tiger Skin, 280cm(L) x 90cm(W) x 300(H), 2006

作品の対象として「動物」を選んだ理由を教えて下さい。

実はそんなに動物好きというわけでもないのですが、マンガなどに出てくる動物は、不思議な容姿をしていて、表情も豊かで、それぞれ特徴があるから好きなんです。中性的で分かりやすいですし。ほとんどのイメージは子供の頃の記憶です。だから作品を作り始めたときも、いつもマンガチックでユーモラスな作品を作っていました。私の作品は、必ずしもメッセージ性を含んでるわけではありません。見ている人に単純に形、大きさ、手触り、ディティールを楽しんでもらえるようにしています。

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