セントラルマーチンズ卒業生展 2007
HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa
セントラルセントマーチンズ美術大学のサウサンプトンロウ・キャンパスで、現役生&卒業生展が開かれている。同校はロンドンのアート大学の中でも著明なデザイナー、アーティストを多くコンスタントに生み出していることでも有名なおしゃれカレッジ。2007S/S ロンドン・ファッションウィークでも一躍注目を浴びたクリストファー・ケーンやマリオ・スクワブなど、 華々しく活躍する卒業生たちの名前をあげるときりがないくらいである。
現役時代から、クォリティの高い作品が次々と生まれてゆくのも、学内、学外のコンペに作品を積極的に発表するよう奨励されているからだろうか。「Direction 2007」と題されたこの展覧会の中でも、すでに商品化が決定しているプロダクト、名のあるアワードを受賞している作品などが見られた。
セラミックデザイン科ではニュージーランド出身のパトリック・モリスの「ハンギングガーデン」が目を引く。天井からさかさまに吊るされたプラントが並び、それぞれきちんと植物をホールドしている様は、シュールで意外性たっぷり。水をやっても、こぼれてこないというクレバーなデザインで、2006年のUKニューデザイナーズ展覧会のセラミックアワードを受賞した。まっすぐ重力の方向にのびるランの花を眺めながら、植物は光のさす方向にのびるはずでは?と疑問に 思ったのだけれど。
同展覧会でニューデザイナーオブザイヤーを受賞したのは、プロダクトデザイン科のトム ステイブルス。手のひらサイズのかわいらしい一眼のプロジェクターは、デジタルカメラにつなぐとその映像を、フラットな場所ならどこにでも投影してくれるという優れもの。需要が高そうな作品といえるのでは?ま た、ステイブルスの、カードをクリップしたり、鍵を飾っておくフックがついたス イッチプレートのデザインも、ありそうでなかった楽しい作品。
ファッション科はロレアルのスポンサリングによるセントラルセントマーチンキャットウォークの一連のプロジェクトを写真により展示していた。デザイン画から始まり、パターンカッティング、テキスタイル、キャスティングにメイクやフォトシューティングと、ひととおりの行程が、それぞれの学生のコラボレーションにより進行してゆく。この卒生展からハロッズアワードやロレアルアワードを受賞し、コレクションにデビューしてゆくデザイナーも少なくない。
ファッション、プロダクツのみでなく、グラフィックデザイン、ジュエリー、パ フォーマンス、写真、ファインアートなどそれぞれの枠の中で、物作りのエネルギーが溢れている。おそらくは、カリキュラムや講師のレベルだけではなく、一人一人の学生のもつ物作りの情熱や、表現への情熱が影響しあってよい土壌となっているのだろう、と納得するのに十分なパワーを感じる展覧会であった。
DIRECTION 2007
会期:2007年1月22日(月)〜3月17日(土)
会場:Central Saint Martins College of Art and Design
住所:Southampton Row, London WC1A 4AP
https://www.csm.arts.ac.uk
Text: Sayaka Hirakawa
Photos: Sayaka Hirakawa