MUTEK.JP 2018

HAPPENINGText: Aya Ono

モントリオール発、最先端の技術を駆使したデジタルアートと電子音楽のイベント「MUTEK.JP 2018」(以下:MUTEK.JP)が11月1日から4日にかけて開催された。

MUTEK」は、2000年にカナダ・モントリオールでスタートし、デジタル・クリエイティビティや電子音楽、オーディオ・ビジュアルアートの創造性の開発、文化芸術活動の普及を目的としており、新たなライブエンターテイメントの提案に取り組み、文化芸術に関わる才能豊かな人材の発掘・育成のサポートまでを視野に入れた世界最先端のデジタルアートと電子音楽のフェスティバルである。

メキシコシティー、ブエノスアイレス、バルセロナなど世界中で展開され、東京では2016年に初開催し、今回で3度目の開催となった。昨年同様、日本科学未来館(以下:未来館)を中心に、全4会場4日間の開催と更に規模を拡大し、総勢20カ国、70組以上のアーティストによる多彩な作品やライブパフォーマンス、参加アーティストによるカンファレンスや、映像・音楽ソフトウェアの無料ワークショップなど多くのプログラムが展開された。


© MUTEK Japan

未来館といえば、科学技術の最先端を展示する常設展示に加え、子供も楽しめる企画展や実験教室なども行う国立のサイエンスミュージアムであるが、過去にはビョークがVR音楽体験展示プロジェクトでテスラコイルを導入したライブパフォーマンスを行ったり、レイ・ハラカミと原田郁子(クラムボン)によるプラネタリウム作品の上映を行ったりと、コアな音楽イベントが開催されることも多い場所でもある。

日本で初めて開催された2016年の「MUTEK.JP」に、未来館の関係者がたまたま訪れたことがきっかけとなり、翌年の2017年から未来館で開催されることになったそうだ。「MUTEK」の今年のテーマは “BLOCK UNIVERSE”。「時空間はブロック宇宙論の法則に従い、「未来・過去・現在」を同時に内包している」という考えのもと、その空間でしか体験できない、時間の概念を超えるデジタルクリエイティビティ溢れるコンテンツが用意されている。今回はデジタルアートを中心に紹介したい。


I\I I I\I IE feat. FAMM‘IN – 2nd Function, KDDI © MUTEK Japan

音楽VR/ARコンテンツで、世界に先駆けて前衛的な作品を次々と発表してきたエイベックスのクリエイティブ・レーベル「2nd Function」が、KDDIとのコラボレーションで生まれたARコンテンツ「I\I I I\I IE feat. FAMM‘IN」はエイベックスのVR専門チームが独自開発した「360°の立体VR技術」を有効活用するために建設された幅・奥行・高さ共に約5メートルのおおよそ立方体のキューブ型スタジオで撮影された作品だ。

二人一組でそれぞれ回転椅子に座り、ゴーグルとヘッドホンを身につけ映像と音楽がスタート。ゴーグルの先には真っ白なキューブ型の空間。周囲はカーテンで区切られており、カーテンの先にも部屋があるように見える。案内役に椅子を押されて、キューブ内を進んでいく。もう一人の椅子に乗せられたゲストは、仮想空間の中では全くの別人として現れ、すれ違う度にこちらを煽ってくるような行動をしてくる。回転しながら部屋を進んでいくため徐々に方向感覚が奪われ、自分がどこに居てどちらを向いて居るのか分からなくなっていく。現実と虚構の世界が混じり合っていく過程を楽しめる新感覚のARコンテンツだ。開催前に配信されたティザームービーはこちらから視聴ができる。


Block Universe #001 – KDDI, da Vinci ers © MUTEK Japan

KDDI総合研究所と、クリエイティブ集団「da Vinci ers」(ダビンチャース)による作品「Block Universe #001」は自由視点VRと音のVR技術を使ったインスタレーション。スマートグラスを通じて三次元に復元されたモナ・リザを見ることができる。スマートグラスとヘッドホンを装着すると、奥の椅子にモナ・リザが現れ、こちらに手を振っている。手すりに沿って歩いて行くとヘッドホンから流れている音にも変化があり、歩く度に音が近づいてくる感覚が味わえる。近くで見ると全身のある立体物で、俯いてごそごそし出しスマホを持ったモナ・リザに撮影される。このモナ・リザは実際の女性モデルに特殊メイクを施してあらかじめ8台のカメラで撮影をし、撮影された映像データを自動的に抽出して組み合わせて、自然な立体映像を作り出している。リアルタイムで3D化することも可能で、『5G時代になれば、会場に足を運ばなくてもライブやコンサートを自由視点VRで観れたり、遠く離れた家族や恋人とも3Dでコミュニケーションができる日も近いかもしれません』とKDDIの商品企画マネージャーの水田氏は語る。

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