「ファッションDNA」展
壮大で古典的なアムステルダム新教会があるダムスクエアに隣接するアムステルダム国立美術館が「ファッションDNA」展の舞台となる。
この展覧会の目的は、ファッションの革命性というより、それがどう作られデザインされてきたかという進化のプロセスを見せることにある。キュレーターは、ある特定の目的や場合に向け、また現代のデザイナーやレーベル、ブランドがインスピレーションを得て来た場所として、何世紀も前の方法で作品を見せる。つまり現代のデザイナーがDNAを得た場所だ。
この展覧会に行けば、いくつかの驚くほど美しい作品に出会えるだろう。19世紀の古いローンテニスドレスから、同じく19世紀からの大きな回転歯ブラシにさえ。これらの作品に対して、フレッド・ペリー、ラコステ・テニスウェア、電動歯ブラシなどの現代作品が並置されている。
展覧会は8つの明確なカテゴリーに分かれている。パーラーとナイキの発売されることのなかったコラボレーション作品が展示されている「スポーツ」。プーマのモンゴリアン・バーべキュー(カスタマイズ可能なコンセプト)が置かれた「革新」。その他、「持続」「衛生」「赤ちゃんと誕生」「体」「哀悼」「増進」。これらのカテゴリーは色分けされており、セクションからセクションへの変わり目をわかりやすくしていた。「私は誰?」という名前のセクションもあった。ここではエリザベス女王時代の服が試着できる。またテレビモニターに映画やビデオ静止画などを映し出し、このセクションのテーマをひきたてていた。
この展覧会の問題点は、編集と質だ。ただ沢山のアイテムが並べられているだけで「量より質」というアプローチが考慮されてはいなかった。いや、むしろ『よし、どれだけ物をぶちまけられるかやってみよう』という感じである。ニベアの保湿クリームのようにそこらのスーパーで買える物も含まれていた!ディスプレイに関しても、プラスティックや配線ケーブルの使いすぎで素人っぽく、スプレー糊で貼り付けてゆがんだ写真展示があるような学生の卒業制作みたいな印象が残った。よくない!
開催地は最高で訪れる価値のある場所で、展覧会も百姓の絵がプリントされた傘や陶器などいくつか素晴らしい作品があっただけに、場所に見合った素晴らしい展覧会ではなく残念である。それでももしあなたがアムステルダムを訪れ、この地のファッションの起源について少しでも興味が沸いたなら、これはあなたのための展覧会だ。
Fashion DNA
会期:2006年8月1日(火)〜10月22日(日)
時間:10:00〜18:00
会場:Rijksmuseum
住所:De Nieuwe Kerk, Dam, Amsterdam
TEL:+31 (0)20 638 6909
https://www.nieuwekerk.nl
Text: Slite
Translation: Naoko Wowsugi
Photos: Courtesy of Rijksmuseum