砂澤ビッキ

PEOPLEText: Jacqueline Ste. Croix

同じ場所に、写実性が素晴らしい虫のような生物のシリーズ作品がある。これも全て木で作られており、触覚や足の節など、全ての関節部が表現されている。海の生物も多く、大きな海老までいる。見事に精巧に作られた「トンボ」(1973)作品もこのシリーズに含まれている。他の作品と同じように、このトンボも関節部が施されていて、羽や長くて優雅な尾までもある。このシリーズは全て暗い色の木で制作されており、緑がかった青いしみがアクセントになって現れているのだが、実際これらが木から作られていることは信じがたい程である。近づいて十分に質感を確かめないことには、銅に見えるだろう。その正確さに、虫嫌いな人は敬意を持って鑑賞することが困難かもしれない。そのトンボは細部がとても印象的で、各部がデザインと形においてほぼ完璧な対称を成している。確実にここまでの彫刻に到達することは難しく、そのことがビッキの技術の証明だ。


樹華 (1983)

BIKKYアトリエ3モアにてフィーチャーされているもう一つの作品が「樹華」(1983)だ。様々な形や大きさをした“華”がある。2本の長い棒が差し込まれた厚い土台で作られていて、これが“茎”を意味する。そして切られた柳の枝が先端におかれ、“花弁”を作り上げる。大きさは様々だが、一様にまるで炸裂する白い花火が凍ったかのようだ。人工であることが信じがたいほどに、とても自然に見える。


四季の面 (1988)

とても好奇心をそそられるセット作品「四季の面」(1988)。丸い土台の上に球体が施され、その球からは“触手”が伸びている。その触手はまた、結合部分を支えている。木製で球のデザインが使われているという点で同じタイプの作品「二ツネカムイ」の進化型のようにも見える。明らかにとても興味深い創作で、同時にとても人目を引く作品だ。

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