第19回 ベルリン・ミュージアム・ナイト
HAPPENINGText: Yoshito Maeoka
印象的だったのは70〜90年代のアメリカ現代美術が全くの中心であり、ドイツの作家はほとんど展示されていたなかった事。21世紀という視点から眺めた際、確かに時間が過ぎ去った事を感じさせる。ちなみに、ダイムラー・クライスラーはポツダム広場のパブリック・アートのスポンサーでもある。
ポツダム広場のジェフ・クーンズ
この時期にも関わらず閉館していた新ナショナルギャラリーを脇目に、ルッツォ広場の塩田千春展へ。彼女の力の入った巨大インスタレーションが3点展示されている。そのうちの一点に彼女が入り込んでこの日はパフォーマンスを行っていた。建物の構造上柱と梁が額縁のように彼女の作品を覆い込み、彼女は作品の向こう側で背中を見せてあちらを向いて立っていた。聞く所によるとこれを約4時間、微動だにせず続けていたらしい。
パフォーマンス中の塩田千春
何人かの友人とも談話した後、バスに乗り込み次の目的地に赴く。多くの人がバスを降りたにも関わらず、人々とは反対方向に向かう。彼らはダニエル・リベスキンドの建築で有名なユダヤ人博物館に行った模様。我々が向かったのはベルリン・ギャラリー。ここではベルリン芸術大学の教授陣の展示が見れた。
ベルリン・ギャラリー
この日は最後、マーティン・グロピウス・バウで「トランスタリッシェ・インパルス展」(ベルリン、ロサンゼルス間の交換留学プログラムの参加者を中心とした展覧会)を鑑賞。いつもはあり得ないぐらいの量の展示を見た為の疲労のせいか、あまりにもインパクトがなくて愕然とする。この時点で既に夜11時近かったが、ちょっと遅めの夜ご飯を馴染みのベトナム料理屋で頂く。深夜12時を回った頃、急に振る舞われた正月料理と店の飾り付けに思わぬプレゼントをもらった気分でその日を締めくくった。
Lange Nacht Der Museen (Long Night of Museums)
会期:2006年1月28日(土)
会場:ベルリン市内
https://www.lange-nacht-der-museen.de
Text: Yoshito Maeoka
Photos: Yoshito Maeoka