ツリー・オブ・ライフ
HAPPENINGText: Yurie Hatano
いつもは休日にならない日本のクリスマスだが、2005年は丁度週末に重なったこともあり特別な連休を過ごした人が多いかもしれない。クリスマス商戦で賑わう街にも、そのため心無しか、例年以上にほころんだ顔があふれていた気がする。様々な思いやドラマが行き交うクリスマス連休初日、雪降る白い北海道から送られた緑色のポジティブメッセージがあった。
約2000人を動員する札幌メディアパーク・スピカにて開催されたアートコミュニティフェスティバル「ツリー・オブ・ライフ」。まず始めに入り口スペースにて堂々と観客を迎えたのは、カミネッコンを利用した未来の森だった。
カミネッコンと名付けられたこの六角形のリサイクルポットは、土と苗木を植え込み、大地に置くだけで、ポットごと土に返して根を張らせる事ができるという、手軽な植樹を可能にした画期的なアイディアから生まれたもの。森づくりというとてつもなく大きく思える試みにも、小さな楽しみのあるライフスタイルから結びつける事ができる。
木々が成長してゆく様を垣間見るかのような入り口の展示には、このイベント、ツリー・オブ・ライフ全体を掲げて込められた “地球への恩返し” という未来への想いが現れていた。このカミネッコンを筆頭に、自然体なメッセージを随所に沿えたツリー・オブ・ライフは、北海道に所縁のある様々なジャンルの表現者達を中心として、「遊び・学び・喜び」のクリエイティブ空間を展開していくのだった。
会場内を進むと、生命を感じさせる大きな球体が宙に浮き、それを包み込む繭のような、立体の空間デザインが施されたメインフロアが現れる。AGROMを筆頭にビジュアルアーティスト達が光と動きと色を加え、神秘的に浮かび上がるクールなステージ。オープニングのOViCによるゴスペルライブを皮切りに、シュレン・ザ・ファイア、qodibop、KOSS a.k.a KUNIYUKIなど、次々と豪華なライブアーティスト陣が登場、パフォーマンスを繰り広げていった。軽快に踊ったり、腕を組んで立ちすくんだり、座り込んで聴き入ったりと、動きを見せる観客達もまた、時間によってフロアの空気を変えるクリエーションの一部のようだ。
SHIFTとSOSOがプロデュースする会場内のラウンジスペースは、メインフロアに隣接し、ライブ音をもそのまま楽しむ事ができる場所にあった。札幌を拠点に活動するデザインユニット・ワビサビのグラフィックで演出された空間は、白と黒を基調に、植物や細胞を彷彿させる独特のモチーフで埋め尽くされている。同じモチーフをまとった3人のモデル達が、ポインセチアのごとくスタイリッシュに赤く咲いて華を添えた。
ラウンジスペースには大きなスクリーンが設置され、そこでは札幌の若き映像作家、近藤寛史による映像や、DOTMOVフェスティバル2005における特別上映作品、河村勇樹による作品などが上映された。
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