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マーガレット・キルガレン回顧展

HAPPENINGText: Reto Caduff

これは、ロサンゼルスの中心街にあるレッドキャット・ギャラリーで行われたマーガレット・キルガレンの回個展の模様である。この模様に対して、かの有名な建築家・フランク・ゲーリーがデザインによる、まるで宇宙から舞い降りたようなウォルトディズニー・コンサートホールのメタリックな建築は、これ以上にないほどのはっきりしたコントラストを見せている。

しかし会場の内部に入ってみると、観る者はただちに、温かみのある、茶系の、サーファー的な世界や、流れものの描写や、すばらしくアレンジされたタイポグラフィなどから成るマーガレット・キルガレンの世界に取り込まれる。これらをみると、イームズやハーマン・ミラーと仕事をしていたアレキサンダー・ジラルドの作品を思い出してしまう。ジラルドはアーティストというよりはむしろクラフトマンだったが、フォークアートに対して親しみと尊敬の念を抱いていた人だ。

マーガレットは、2001年に癌で悲劇的に夭折してしまったのだが、海辺の絵描きであった彼女は、今でもアメリカの現代絵画に多大な影響を及ぼし続けている。ハンドクラフトに対しての特別な影響を見せつつも、彼女は文化的な暴徒としての20世紀の女性のグループ(サーファーや流れ者や旅するミュージシャンたち)を断片化して、そこら辺で拾ったメタルやファブリックにミスマッチに貼り付けて、描いていった。本回顧展は彼女の仕事に対する最初の大掛かりな調査であることを証明し、それはまた、彼女の夫と、頻繁にコラボレートしたことがあるバリー・マッギーが選んだという大掛かりな2つの壁のインスタレーションをも含んでいる。

この回顧展は、コレクターの個人蔵やアーティスト自身の財産から持ち出されたおよそ100点のペインティングとドローイングがフィーチャーされている。それは彼女の仕事に対する最初の大掛かりな調査であり、回顧展に付随して、アーティストの豊富なキャリアの間に生み出した何百にも及ぶ作品に対してのジョン・スエダによるドキュメントなどが収録された208ページのカタログも出版された。

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