ダニー・ブラウン
PEOPLEText: Jemma Gura
あなたが特に好きなインタラクティブアーティストはいますか?
最近では、ジェームズ・パターソンとアミット・ピタルのものは見るもの全てにびっくりさせられます。私はいつも「どうしてそこに気が付かなかったんだ!」と思います。それに、それはとても衝撃的で一瞬で夢中になってしまうようなものだと思います。 遊び心があって面白いです。
様々な出来事の中で、私が好きなことの一つに、他のデジタルデザイナーやアーティストに会う機会を持つというのがありますが、あなたにとってお気に入りの時はありますか?
バルセロナの「OFFF 2003」は良かったです。首の骨を折るまでは…。それと、IdNがマイ・フェイバリット・カンファレンスに私たちを呼んでくれたときですね。本当に嬉しかったです。一番面白かったことは、夜に行われるイベントに向かうために彼らの用意したバスに乗っていた時のことです。ファブリカのジェイミーも一緒に乗っていることに気が付きました。私は彼の活動ではなく、友人を通して知っていました。だから私は、彼とファブリカを結びつけませんでした。彼もまた、ロイドの友人のダニーだな、と考えながらその週を過ごしました。地球の反対側でそんなことが起っているなんて、面白いでしょう?
プレイ・クリエイトは何か新しいことを展開する会社だと思いますが、今あなたが手掛けている新しいプロジェクトはどのようなものですか?
そうですね。プレイ・クリエイトは常に何かを展開させています。現在、数年間分の企画がすでにあります。しかし、ロンドン・デザイン・ミュージアムでデザイナー・オブ・ザ・イヤーをもらったことが私にとって色々なきっかけになりました。そして自分の事故にも「今」という時間を気付かされました。
かなり多くの構想があります。例えば、ユニークなデザインを描いた通し番号のついたCDを花で飾るというものや、いくつかのトップシークレット企画、モバイルプロジェクトがあります。ちょうどデリーにあるパークホテルのインスタレーションを終えたところです。水がテーマで、粒子を使って、滝をランダムにエンドレスに動かすというものでした。
シフトの カバーデザインについて教えてください。
止まる。巻き戻す。私はこの作品に2週間費やしました。それは、かなり基本的な部分で、一緒に入れたかったものをぐるぐると回したものです。しかし、締切りの2日前で、完全に気が変わりました。ブロックをいじくり回して、私は、3×3ピクセルの文字からシフトという言葉を作ることができるとわかりました。そしてそれらは妙に馴染んでいて…結果このようなものになりました。このカバーはニック・キルロイの思い出に捧げます。
バルセロナでの事故で障害が残ってから、あなたの仕事のプロセスでもっとも大きなチャレンジはどのようなものですか?また、どのようにそれを乗り越えましたか?
私はまだコンピューターが使えるので、とてもラッキーだと思います。事故の前と同じ身体的器用さはありません。確かに、どんな時もすぐにピクセルグラフィックスを作らないでしょう。しかし、本質的には過程は変わりませんでした。おそらく私はもっと他のデザイナーとコラボレートするようになるでしょう。今年中には新しいデザイナーを雇いたいと考えています。
今私がしている多くの仕事は、プログラミングを基礎とした、とにかく楽しく続けて行くことができるものです。けれども、事故の前に自分の力を示せず、キャリアも築いていなかったら、どうなっていただろうと考えます。どのように自分を見るのか、他の人はチャンスをくれただろうかと、多くの段階で悩みます。
これらの問題はどのようにあなたの視点に影響を与えましたか?また、他のデザイナーについての洞察はありますか?
首を折ると自動的にアクセシビリティのエキスパートになれるというのは面白いですね・・。それはともかく、全てについてアドバイスを与えたいと思えないような、沢山の異なったハンディキャップや障害があります。私の成績が誰よりも悪いとか。
自身について言えば、器用さについてです。私にとって小さな物を指差すのは難しいです。同様に動いているものを取りにいくこともです。私はあなたが何を考えているか分かっています。「スモール・ムービング・シングス」は「ダニー・ブラウンズ・ワーク」のようなサウンドだって言いたいのでしょう?あなたは皮肉屋ですね。
しかし、このことは私を次の地点に連れていってくれます。誰かがそれを使うことができないからと言って、アクセシビリティが、ゲームや経験を考えつくという創造性を阻むべきだとは信じていません。そういったことは明らかに、DDA(イギリスの障害者差別禁止法)に反しています。一般に誤解されていますが。
もし商業サイトや政府のインフォメーションサイトであれば、不必要に使用を難しくすることは、思慮がありません。しかし、ゲームやエンターテイメントサイトの場合、皮肉なことですが、私は自分が上手に使えないものを、まだプログラミングしているのですから!もちろん、キャップスロックを使うショックウエーブやフラッシュのゲームで連射機能などのヘルパーを入れていますが、その上で他人の楽しみを損なったり、できることを制限しようとは思いません。
ここではウェブサイトではなく、インタラクティブエンターテイメント全般について話しをしています。私の言ったことが質の悪い情報デザインやグラフィックを正当化するのに用いられるのは嫌です。
最近、テクノロジー、あるいは音楽やアートなど他の媒体でエキサイトしたことは何ですか?
次世代携帯電話を見たとき、本当に興奮しました。皮肉なことに、このテクノロジーはPC以上の、本当の贅沢品になったと思います。 それには有料ダウンロードソフトやメディアメカニズムが入っています。誰でも携帯電話のインターフェイスに新しいものを、最新のMP3を、ゲームをと、何にお金を払ってダウンロードするのか選ぶことができます。他のものだとこのようにはまだいかないと思います。そして、もしこのようなことが続けば、すぐに全ての都市も同じようなものになるでしょう。
Text: Jemma Gura
Translation: Ayako Yamamoto
