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トランジット展

HAPPENINGText: Gisella Lifchitz

その反響はどうですか?

サスキア:見る人は、それぞれ自分の見慣れた場所に気付きながら、楽しんでくれていると思います。シャローネも言っていたように、自分が見慣れているものを、それをまったく知らない人の視点から見るのはとても面白いことだと思います。

小さな街で展覧会を開くと、地元の人達は自分達の知っている場所、例えば自分の家の近所などを探してしまうということはよくありますよね。

フェリペ:僕は、ここで展示するのに2つの作品を持ってきました。小さな彫刻とサッカーのボードゲームです。僕は、自分自身と作品に何らかの関連性を持たせるのが好きですね。この作品もそうですが、スポーツと人々の間で起こる争いを照らしあわせています。

マルティーナ:私はドキュメンタリー写真を撮ります。ストリートを歩きながら写真を撮るのが好きですね。今年手掛けているプロジェクトは、実は去年とは全く逆の事をやっています。ロンドンでは、室内で撮影していましたが、ここブエノスアイレスでは、ストリートに出て撮影しています。また、去年はセルフポートレートを撮っていましたが、今年はシャローネとお互いを撮りあっています。つまり今年は、街と自分達自身と向かい合っているいうわけです。


Felipe Cravo, You should see how happy I am since you left me, 2002-2003, Mixed Media

メンバーの共通点はどんな所と言えますか?

シグビョルン:僕達は、コンテンポラリーアートという分野で、似たような感性や作品を持ってはいますが、それぞれが異なるプロジェクトを持っています。

サスキア:一緒に経験を積んできたので、似たような批評的感性も持ち合わせていると思います。僕達はみんなそれぞれ別のところで育ったけれど、1年間同じ環境で過ごし、セント・マーチンズでのコースを通して作品に対する似たようなアプローチを学んだ。

シャローネ:本当にそう思います。私たちは、イギリス人ではなく、別の何かなのです。

フェリペ:僕達は、新しいことを経験するためにロンドンへ行った。学校は本当に大切な場所です。そこにいる誰もが刺激を与えてくれる場所。

ガブリエル:僕がロンドンへ行った時、アーティスティックなものをできるだけ多く収穫しようと思っていた。ロンドンでは、長い歴史を持つトラディショナルな部分とコンテンポラリーアートシーンが、対照的でありながら共存しているところが興味深いです。

シャローネ:ガブリエルは大きく変ったと思います。ここで起こっていることが、どのように彼の作品と関わっているのかを見つけることができました。ここへ来た時にそのことがはっきりしました。彼は、自分の作品がどのようなバックグラウンドから生まれてくるものなのかを私たちに見せるためにここに呼んだのだと思います。

ガブリエル:ブエノスアイレスに来た時、アートシーンの最新情報を得るのに必死になっていました。物事を始めるのに重要なことだと思います。


Gabriel Glaiman, Transit, 2003, Oil on canvas, 157 x 127.5cm

この展覧会には何かテーマがあるのですか?

シャローネ:あなたはどう思います?

この展覧会自体が旅であって、その中でアーティストそれぞれが表現する場所があるということでしょうか?

サスキア:その通りです。僕達の作品の本当の共通点は、僕達はみんな「どこでもない場所」にいるということです。

シャローネ:旅は、私たちが何を持っていて、何を持っていないかを教えてくれます。

ガブリエル:旅は、自分自身と向き合う方法の一つだと思います。僕にとっては、この展覧会はグループのメンバーを一つの形式的な場所に置いて、何が起こるのか試しているという感じです。

シャローネ:沢山の人がこの1ヶ月で、いや私たちが生きている限り、私たちの作る作品を見て欲しい!ここには沢山の人がいる。とても広い範囲の観客に作品を見てもらえるこの機会に巡り合えて良かったです。

その後も私たちは、コンテンポラリーアートとロンドン、主観主義と客観主義についていろいろな話をした。帰らなくてはいけなくなるまで全員話に夢中で、最後に Eメールアドレスの交換をし、それでもまだ話を終わらせるのが名残惜しく、作品の前を沢山の人が通り過ぎる中で話をし続けていた。彼らは今日も、あの場所を明るく照らしているのだろう。

Transit
会期:2004年3月11日(木)〜4月11日(日)
会場:Centro Cultural Recoleta
住所:1930 Junin, C1113 Buenos Aires
TEL:+54 11 4803 1040
https://www.centroculturalrecoleta.org

Text: Gisella Lifchitz
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Courtesy of Centro Cultural Recoleta © the artists

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