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メタモルフォーゼ 2003

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

そして、ソーラーエリア。なだらかな斜面には、思い思いに過ごしす人たちが、電子音楽の今をそこに普通にあるという感覚で聴くことかできる特別な場所だ。しかし、よく考えるとメルツバウ、井上薫、ブンブンサテライツなどを同じステージでみるというのは、めったにないことなのではないか。これが、メタモルフォーゼの面白さであり、他に類を見ない特別な存在のフェスティバルたる所以だろう。やはり、最後に一番の驚きの体験を与えてくれたのもこの場所だった。


Dub Squad

明け方のスリー・チェアーズから、ダブ・スクワッドへのDJセッションからライブセッションへの移り変わり、その後のジェイミー・リデル。3人のDJから3人のライブ、一人による圧倒的パフォーマンス。スーパーコライダーやハーバートとのコラボレーションなどで知られるジェイミー・リデルの人間ビートボックス・ラップトップ酔いどれボーカルライブは、電子音楽の喜びとライブイベントだからこそ素晴らしい突発的なハプニングに出会えるという幸福な体験を、その場に居合わせた人々に与えてくれた。ライブの締めは、アカペラで音楽こそ真実だと高らかに歌い上げ、切実に音楽というもの突き詰めて、その先にある純粋な喜びと人間が生まれたときから持ち合わせた楽器「声帯」というものへ回帰するというストーリーをボクらに見せてくれた。


Jamie Liddel

イベントも終わり、会場の遊園地も当たり前だけど通常営業をこの日も行う。朝11時頃には、家族連れの一般のお客さんも目立ち始め、会場は凄いスピードで片付けられていく。その中を散歩しながら感じるのはどこか懐かしい気持ちと、昨夜の出来事が夢だったのではないかという錯覚。そんな感覚が、普段乗ることはない遊園地にある空中ブランコへと足を運ばせる。朝から遊具を楽しみにしてきた子供達と一緒にそれに乗り込み、回りながら空を見て終わったのだなと実感する。

音楽だけでなく野外空間における演出、「RIS」というアートプロジェクトの参加、ヤマハやコルグ、ローランドなどのメーカーによるファクトリーブースの設置などメタモルフォーゼは、年々進化し続けている。決まったスタイルに固執するのではなく、イベント名からも変化こそがスタイルといったコンセプトは、毎回足を運ぶ人びとに新しい体験を与えてくれるだろう。

METAMORPHOSE ’03
会期:2003年8月23日(土)、24日(日)
会場:日本ランド HOW ゆうえんち(富士山)
料金:前売り 8,500円 当日 10,000円
https://www.metamo.info

Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Yasuharu Motomiya

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