イノスナ・アートコム
イノスナ・アートコムは、3人の男の子(ダニエル・ブラーヴォ、カルレス・ヴァルヴェ、ジュリオ・ハーディソン)と、女の子(ローラ・ミヤシロ)一人からなるグループ。彼らについてはシフトで紹介したいことが沢山あるのだけれど、まずここ最近で一番の出来事は、昨年、ビデオゲーム・クリエーションの分野でアートフューチュラ賞を受賞したことだろう。彼らに会ったのは、1月でもぽかぽか陽気の、ある日のバルセロナの午後。彼らはちょうど、最新プロジェクト「インソニック」のフランスでの展覧会に向かうため、旅支度をしている時だった。
「イノスナ」とは、どういう意味ですか?
カルレス:童話「ピノキオ」には、ゼペットじいさんが登場しますが、このおじいさんの作品に、僕は「イノスナ」を感じます。生命のないオブジェに命を与え、ピノキオというものを、プログラミングやグラフィックデザインで作っているのが、僕達です。
ジュリオ:僕の意見は、カルレスのそれとはまったく逆なんです。一方では、「イノスナ」として僕らは自動的にオーガナイズし、いろいろな試みを行い、新しいアイディアを編み出し、何かを学び、サラリーだって発生しています。でももう片方では、「イノスナ」は何か実際には、泡のような架空なものと思われているかもしれません。
バルセロナでのイノスナは、どのような役割を担っているのでしょうか?
ジュリオ:具体的には、どのシーンにも僕らはピッタリとはフィットしていないと思います。でも、デザイン、アート、ビデオゲーム、教育、その他様々なシーンに、かなり溶け込んでいるんじゃないかな。僕達の、いろいろなものに挑戦してみたいという願いは、同時に勇気でもあるのです。
ダニエル:僕達は一つのシーンでは落ち着くことができないグループです。インディペンデントなグループにとってシーンとは、彼らのプロジェクトをサポートしてくれるもの。でも僕らにとっては、メディアチックなショールームはまったくもって興味の対象外だし、それこそバルセロナがまさにこれですよね。
2002年で一番印象深かった出来事は何ですか?
ジュリオ:ローラの作品じゃないかな。彼女のグラフィックは漫画の世界そのもの。任天堂もイノスナの伝統的なミニマリストとしてのスタイルと、すっかり融合したと思います。
ローラ:そうですね。このゲーム「インソニック」で、アートフューチュラのビデオゲーム・クリエーション賞を受賞できたことは、何だか夢のような出来事でした。
ダニエル:新しい緑色のスタジオを持てたことかな。
ビデオゲームについてですが、あえて今、失敗点をあげるとしたら、それはどのような点ですか?
ダニエル:これは、ビデオゲームに対して敬意を持って話すことになりますが、ビデオゲームのほとんどが連続性というものに基づいて作られています。僕達がしなければいけないのは、一昔前のビデオゲームの要素と、これからも発展できそうな要素を織りまぜながら、ユーザーに新しい体験を味わってもらうこと。たとえそれが、僕達にとっては、ワード・ビデオゲームを使うのを止めさせる結果となっても、その必要はあると思います。
ジュリオ:ビデオゲームは技術的に発展するものですが、ランゲージや計画的なレベルとしてはそれほどではありません。だからこそ、もっともっと画期的になるべきなんですよね。リアリティさを表現したり、すでに知っている案をリピートすることに夢中になっている。オーサー的なビデオゲームなんて、今ではほんんどありませんよね。
カルレス:ビデオゲームはいまだに、青春の1ページだと思います。そのゲームに暴力やセックスのシーンが登場すれば、それは「大人のゲーム」として分類されてしまうけど、もしそのゲームから分別のある経験をできれば、それは「大人のゲーム」にはならないと思います。
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