イシ・ラ・リュンヌ
PEOPLEText: Sachiko Kurashina
今月のカバーデザインを制作してくれたのは、フランスのイシ・ラ・リュンヌ。サイト制作からエンターテイメントまで、幅広く活動の場を広げている。スーパーメディア・デザイナーとして、インターフェイス・カルチャーに貢献したい、という彼等のデザインは、どういったものなのか?
ご自身のバックグランドも含めて、自己紹介をお願いします。
イシ・ラ・リュンヌのスーパーメディア・デザイナー、アルノ・ル・ウエデック、ブノワ・ブラトル、ヴァンソン・ケギネーです。約4年前からイシ・ラ・リュンヌを設立し、現在は8人編成でコンセプター、プログラマーとして活動しています。設立当初から、革新とクリエイションをミックスし、それを大切にしながら頑張ってます。
イシ・ラ・リュンヌが設立された経緯について教えて下さい。
1998年の初頭の事になるのですが、私達、アルノ・ル・ウエデック、ブノワ・ブラトル、ヴァンソン・ケギネーは、まだその当時デザインとアートの学校の学生で、しかも最終学年の5年生でした。でも、その学校を退学して自分達の会社を作ろう、と決めたのです。学校以外でも、5年間のマッキントッシュを使ってのニューメディアの経験があったのも強かったと思います。そういう訳で、独立したお陰でトータル的なクリエイションとインタラクティビティの自由を私達は手に入れることができたのです。表現することの新しいエリアには一切、歴史とかルールといったものはありませんでした。素敵な出会いやエクスチェンジが頻繁に起こっていた、素晴しい時代がまさに、ウェブデザインの世界が始まった頃だったのです。
イシ・ラ・リュンヌの活動について教えてください。
主にウェブサイト、CD-ROM、オフィス・イラストレーションのインタラクティビティなコンテンツの制作を専門としています。幸運にも、高価な製品、音楽、産業、エンターテイメント等、様々なエリアで活動しています。私達のプロジェクトにおいて常に革新し続け、産業的な邁進する為に、徹底的な調査を行い、開発にも十分な時間を費やしています。
イシ・ラ・リュンヌのウエブサイトではどのようなことをやっていますか?
現在は、ショックウェーブ8.5を使った、ハッピー・ニュー・イヤー・カードの企画を行っています。
他とは違うリアル・スクリーンのアプローチで、インターネットとCD-ROMにおける新しいインターフェイス・カルチャーに貢献するのが目標だそうですが、具体的にどのようなことを経て目標に近付きつつありますか?
学校に通い始めた頃は、コンピューターについての知識は皆無でしたし、むしろ建築や産業的なデザインに興味を持っていました。ただ単に、頭の中で考えていた建築やデザインプロジェクトで、何か面白いことができそうだ、ということだけを感じていました。最初のうちは、デザインプロジェクトの3Dピクチャーやアニメーションを作る為のツールとして、マッキントッシュを利用していました。その一年後には発表できるテキストやピクチャーが沢山でき、それらを発表できる適した場所を探し始めました。またマッキントッシュのお陰もあり、インターフェイス・ユーザーの考え方に対して、居心地の良さをとても感じていました。ちょうどこの時期、デイレクター3.0 についての情報が入って来て、私達独自のインターフェイスを作り、プロジェクトをスクリーン上で発表したいと思うようになり、実現にまで持って行くことができたのです。「こうしたいな」と頭の中でイメージしたことが全て可能になるように、プログラミングを独学しました。今では自らの事をとてもラッキーなデザイナーだと思っています。それは制作過程のあらゆる段階において、製品のクォリティーをコントロールできるなど、コンセプトからファイナルプロジェクトまでの全てを自分達の方法でできるようになったからです。私達にとってスクリーンとは、全てを可能にできる場所です。結論として言ってしまえば、私は私達自身を何かを編集する、というよりは産業的なデザインのアプローチに近いところに居る、と感じています。
自称「スーパーメディア・デザイナー」だそうですが、マルチメディア・デザイナーとの違いは何ですか?
実は自分達の仕事を「スーパーメディア」と呼びたかったのは、1996年はマルチメディアが取り上げはじめられた頃で、それが必要とする新しいアイディアを十分に含んでいない物足りない言葉だな、と思ったからです。スピーカー、CD、DVDプレイヤーについてや、あるいは異なるメディアを一つの物にする、ということについてマルチメディアは、フォーカスを当てています。私達にとってスーパーメディアは、ミックスと違うメディアの間というよりも一種変わった中間的要素があるものなのです。
クリエイティブでテクニカルな面も含めて、私達は常にグローバルに物事を考えるようにしていますし、これは永久的に繰り返されることなのです。スーパーメディアのテリトリーとは、スクリーン、ユーザーの心、そして感受性の間にあるものです。これは触れることのできないメディアですし、インタラクティビティ、グラフィックス、モーション、音楽などと共に表現される感情なのです。
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