コッシュ・サロン

PLACEText: Daniel Goddemeyer, Andrew Sinn

今夜何処で食べようか? 外食に行く時に、もしかしたらこれはあなたが直面する問題の一つかもしれない。でも、近所のイタリア、アジア、トルコ料理屋にはちょっと飽きが来ている。安くて美味しい料理を食べさせてくれる店なら沢山ある。一方で、小洒落たちょっと高めの店もある。しかし、仲の良い友達が2、3人で集まるようなリラックスした雰囲気の中に、美味しそうなフードが並んでいる、といった2つの極端な状況が完璧に実現できるような店など、殆ど無いのが現状である。

テルセ・バスが「コッシュサロン」(クッキング・サロン)を仲間2人と始めたのは4年前である。この事業を始めるきっかけは、ハンブルグの美大で勉強できるような十分な資金が無かっただけではなく、調理に対してアートという形としての魅力を彼女が感じていたからだ。絵画や彫刻といった言わゆる「伝統美術」の製作に満足感を得られなかった彼女。そんな彼女が感銘を受けたのが、現代的な表現方法としての調理だった。

『例えば、あなたはある場所にたくさんの食べ物を持って行くことができます、そして誰もがお腹と頭の中で忘れられない夜の思い出の中として家に持ち帰ります。こういうことです。』と、私が訪れた水曜の夜に彼女は言った。このような強い信念は、彼女が魅了されているアートの一面である、と言えよう。『アートは常に現代的で、ビデオ、写真のスチール、音楽などのような素材のサンプリングです。古風なイメージがある料理で同じことができるのではないか、と思い始めたのがこれを始めたきっかけです。現代的な料理と独特な雰囲気を同時に作り出してみたかったのです。』と、説明する彼女。彼女が避けようとしたことの一つは、個性が欠如した、おいしい料理を提供できる可能性のある非常に計算的で商業的なイベントにしすぎないということである。

このプロジェクトの資金を調達し、改修と新しい調理器具の購入の費用を支払うことができるようにするために、彼女は毎週土曜日の夜にコッシュサロンのスペースでパーティーを開き、それぞれ50ドルで株を売るという素晴らしいアイディアを思いつた。その見返りとして、株の買い手は60ドル分の飲食をすることができるというものだ。全ての株はあっという間に売り切れたため、この場所が機能するまでにかかった約7か月は、それほど経済的な問題は発生しなかった。今回のリノベーションにより、キッチンを囲むカウンターが設置され、まるでお母さんが料理を眺めているような気分になれる。

この日のメニュー:
クルトンがのったセロリのクリームスープ
豚ヒレ肉とりんごのバーガーとサラダ、チャツネ添え
ピーマンと西洋ねぎにのった、アンティーチョークとフェタチーズのラビオリのクリームのマンゴーのティンベイル
麺と豆のゴートチーズ巻き
白身魚のフライとサーモンのフィレ、蒸したきゅうりとじゃがいも添え
スパッゲッティ・アル・アラビアータ
クリームのかかったアップルクランブル

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