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ジョディ・エルフ「RE.SOUND」展

HAPPENINGText: Rei Inamoto

芸術的なメディアとしての音は、ある意味乱用されてきた。昔から、僕達が音楽と呼ぶ様々な形における表現方法として、音に対する探求が続けられている。今日の近代社会では、テレビやラジオ、街角、家庭などで生まれる様々な音が、僕達の生活の至る所に浸透している。実際、僕達を取り巻く環境は、音で満ちあふれていて、意識しているか否かにかかわらず、自分自身で自分が聞く音を選び取っているのだ。

ムービングイメージ・ギャラリーのジョディ・エルフの展覧会「RE.SOUND」は、アーティストの説明によると「アンビエントな音の環境を音楽的な反応へと変換するプロセスにおける継続的な探求」を表現するインスタレーション作品だ。本展は、僕達が何を「選択」するかについての考えを変える試みとなった。

来場者がギャラリー内に歩いて行くと、床に投影されたクロマトグラフィーの図表のような抽象的なイメージが目に飛び込んでくる。このインスタレーションのメインとなる作品は、目に見えるものではなく、聞こえるものだ。そしてその音は、来場者自身が作るノイズによって作られる。何本かのマイクがギャラリースペースに配置され、そのマイクが来場者の話し声や笑い声、ストリートの車の音、建物内部とその周辺のアンビエントなノイズ音など、その空間内にあるあらゆる音を拾い、集められた音が、音を分析するMAX内で構成される様々なコンピューターソフトウェアエンジンに送られる。そして、その様々異なる分析結果が、空間内に取り付けられたスピーカーを通して来場者の耳に聞こえるようになる。

これは、オーディオデータを「リサイクル」するシステムであり、インスタレーションの設定や来場者数、ノイズの総量などにより様々な結果を生む。床に投影されたイメージは、そのソフトウェアによって作られた多様な音波の視覚化である。(ギャラリー内にあまり人がいないと、床に投影されるイメージは全くのモノクロになる。)一定の瞬間に来場者が聞く音は、彼等の存在が作品全体に直接的な影響を与えることにより、同じ結果が生まれることは有り得ない。

これは、間違いなく面白い試みだ。SHIFTの読者の大多数にとって音は、おそらくメディアの主な選択ではないかもしれない。だが、メディア間の境界線が曖昧になっていくにつれて、それこそが各メディアの定義となるのだ。

RE.SOUND: An audio installation by Jody Elff
会期:2001年1月11日(木)〜31日(水)
会場:Moving Image Gallery
住所:414 Broadway, New York, NY 10013
https://www.movingimagegallery.com

Text: Rei Inamoto
Translation: Mayumi Kaneko

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