ワンナイン

PEOPLEText: Mayumi Kaneko

ワンナインはどこに向かっているのですか?スタジオとしてのゴールは何?

マット:ワンナインは、今後も常にデザインスタジオであり続けると思います。プロダクトベースのデザイン、例えばポスターやビデオを使った作品など、アウトプットの領域を広げるものをやって行きたいです。今現在、ウェブの仕事が最もお金を稼げますが、様々なメディア間でバランスをとりつつ仕事ができたらと思います。

ウォーレン:今と同じように探求を続けていくことと思います。メンバーは何人か増えるかもしれませんが、大規模なスタジオにすることは考えていません。今年は、例えばブロードキャストなどの他メディアにも進出して行きたいです。また、自分達のプロジェクトだけでなく、他のデザイナーやグループの作品も世に出して行くことができればと思っています。

リー:個人的には、ブロードキャスト関係をもっとやって行きたいです。以前にアフターエフェクツの仕事を少しやっていたことがあって、そこにもう一度立ち戻りたいと考えています。スタジオとしては、クリエイティブなパワーを前面に押し出し、中身のある面白い仕事を続けて行きたいです。

グラフィックデザインは、90年代初・中期の実験的なものからシンプルさに重点を置いた新しいもの、一種のネオモダニズムへと変化してきているようですが、この変化についてどう考えますか?

マット:グラフィックデザインは、カルチャーの中で実際に起こっているものよりも遅れている作られた制度の中で変化していると思います。日本のガスブックやジェフ・マクフェトレッジ、エヴァン・ヒーコックス、シェパード・フェアリーやその他新しいデザイナーの作品などがその監視レーダーを逃れ、面白いことをやっています。役立つものとしてのデザインという考えが、よりクリエイティブでコラボレーティブなものへと変化してきています。

ウォーレン:全て同じ「型」から生まれたものだと思います。ただ、グラフィックデザインの暦の別の時期にいるというだけです。新しい経済への返答としての「ネオモダニズム」からデザインの企業スポンサーシップモデルへの回帰に及ぶ議論をよく耳にしますが、あえて言うなら、それは僕達皆に関係のある進行中の論議における別のセンテンスであって、刺激であると同時に、未来への返答でもあるのです。

リー:広範囲にわたって、素晴らしいデザインが数多くあると思います。良いデザインは良いのです!デザインにアプローチする考え方を変えてくれるものも沢山あります。どれも皆ものすごい速さで動いていて、僕にとってはエキサイティングでもあります。ただひとつの願いとしては、僕の作品が常に進化の過程に存在し続けることができればと思います。

個人的にデザインにおいて影響を受けた人は誰ですか?またその理由は?面白いことをやっていると思うデザイナーを教えてください。

マット:フューチュラの大ファンです。長い間に渡って、素晴らしいアート/グラフィティ/デザインを手掛けています。彼の進化と素晴らしいことをやり続ける能力には尊敬します。アート/デザイン/イラストレーション/グラフィティ/オブジェ/プロダクト間のギャップを埋める彼の作品は、僕にとってものすごく革命的です。エリオット・イールズも、パフォーマンスを通してデザイン、音楽、ナレーティブ、タイポグラフィーをひとつにし、素晴らしいことをやっています。また、尊敬できる僕の友人達、マイクニコブラッドレーエド、そして仲間のリーとウォーレンにも影響を受けています。

ウォーレン:最近、ウィム・クロウェルの作品を知ったのですが、彼が作る作品の幅の広さに完全にやられました。彼のシステムとタイポグラフィーに対する探求は目を見張るものがあり、僕達が今「新しいデザイン」だと考えているものが本当はそれほど新しくないんだということを教えてくれます。スコット・マケラ教授にも、先生として友人として多大なインスピレーションを受けました。アレン・ホリも、素晴らしく美しい作品を制作しています。昔からの友人であるバリー・デックも脅威的で、並ぶもののない独特のタイポグラフィーの使い方をしています。もちろん、僕の今のパートナー、マット・オーエンスも忘れてはいけません。

リー:友人達には間違いなく影響を受けています。彼等のクリエイティブさには、すごくインスピレーションを与えられます。マットとウォーレンも、間違いなく常に僕を刺激してくれます。彼等から多くのことを学びました。現在起こっている面白い動きとしては、ドローイングとペインティングを統合してデザインに取り入れている ジェームスカレンなど、彼等の作品を見ると、僕自身ドローイングとデザインをミックスして自分のパーソナル作品の中に取り入れてみたくなります。また、今何が起こっているのか僕達に教えてくれる K10KDESIGN IS KINKYなどの活躍も素晴らしいです。もちろん、SHIFTもそのひとつです。

最後に一言。

マット:数年のうちに、今後20年間においてデザインがどうなって行くのかを決定づけることになるだろうと思います。僕達は今、カルチャーが集合している場の縁にいて、デザイナー達は今後、その収束の真ん中で活躍することになるでしょう。

ウォーレン:僕達は皆、情熱を持って取り組んでいます。それがなければ、多分今頃マットは高速道路のドライブインで皿洗い、リーはグレービーソースのレシピを開発してメールオーダービジネス、そして僕は、ポルシェの配線関係の仕事に就いて、12インチのサブスピーカーを2台積むにはどうしたらいいのかを計算していたことでしょう。

リー:もっと多くのことを精力的にやっていきたいです。みんなも頑張ってください。

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Text: Mayumi Kaneko

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