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HELLO! SUPER COLLECTION 超コレクション展 ―99のものがたり―

HAPPENINGText: Amelia Ijiri

構想から数十年、2022年2月2日に大阪中之島美術館が開館した。この美術館は、一美術館が何になり得るのか、という新しいビジョンの先触れとなっている。大阪中之島美術館が構想されてから約40年を経て、遠藤克彦建築研究所によるビジュアルが目を引くブラックボックスの建築デザインや、印象的な6000点を超えるコレクション作品がアートを広範囲に再定義することにこたえている。


大阪中之島美術館

準備室は1990年代に設立され、バブル経済、2000年代初頭の大阪市の財政非常事態宣言、最近では、世界的なCOVID-19の大流行を乗り越えなければならなかった。美術館の根底にあるコンセプトは、アート作品を、収集、保管、展示する機関から、より広範囲に機能する機関へと、問題提起し、再定義することである。菅谷富夫館長は、美術館の新しいアプローチに焦点を当てて3つの要点を述べている〔1〕。


Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり― 展示風景、大阪中之島美術館

一つ目は、アーカイブという「新しい機能」である。美術資料へのアクセスを容易にし、美術の世界をより開かれた民主主義的なものにしたい。以前は、特定の人々にのみアクセス可能であった美術館アーカイブは、公に開かれている。美術へのアプローチは作品を見るだけではなく、資料によって作品や作家についてより立体的に知り、更なる美術の魅力に触れられる機会を提供していく。また、アーカイブに収められた資料には価値の優劣はない。利用者によって価値は発見され、つくられていくものなのである。二つ目は、外部との連携を基本とする「新しい活動スタイル」である。財政の悪化により計画全体を縮小し、スタッフも削減されてきたが、それに対して連携という手法で対処していく。内部スタッフだけではできない新たな可能性が出てくることを期待し、この活動スタイルを積極的に推し進めていく。例えば、民間分野の企業との連携するインダストリアルデザイン・アーカイブズ研究プロジェクト(IDAP)がある。美術館がセンターになるということではない。ネットワーク拠点の一つとなるのである。三つ目は、大阪から「新しい視点」を示すことである。大阪主体の観点で、よりアジアの美術や女性による美術を包括することなども意味する。


Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり― 展示風景、大阪中之島美術館

大阪主体の観点は、単に地元のアーティストを集めることではない。それは、西欧中心のアートの視点や東京が文化や情報の中心という仮定を疑問視する世界認識を促進する。大阪主体の観点は、地域のアーティストに焦点を当てることではない。これは、はっきりしている。その視点は、アート界の抜本的な概念を変革する。例えば、芸術と商業、プロとアマチュアの境を曖昧にする。大学に相当する公立の美術学校が存在してこなかった大阪では、権威とその対立、という構図ではなく、様々なグループが同時多発的に結成され、刺激しあいながらそれぞれに活動を展開する様が各時代にみられたのである〔2〕。

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