「音のアーキテクチャ」展

HAPPENINGText: Victor Moreno

21_21 DESIGN SIGHTで、音色や音域、音量、リズムといった要素によって緻密にデザインされた構築物(アーキテクチャ)をテーマにした「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」が10月14日まで開催されている。21_21 DESIGN SIGHTは、デザインを通じて様々なできごとやものごとについて考え、世界に向けて発信し、提案を行う場。2007年のオープン以来、展覧会を中心に、トークやワークショップなどの多角的なプログラムを行い、デザインについての理解と関心を育てていくことを目指している。

本展は、コーネリアスとしての活動でも有名な、ミュージシャンでプロデューサーの小山田圭吾が新曲を書き下ろし、ウェブ、インターフェイス、映像で高く評価されているウェブデザイナーの中村勇吾が展覧会のディレクターを務め、歌詞も担当した。会場構成は、国際的に高く評価されているインテリアデザイナーで、インテリアデザイン事務所「ワンダーウォール」の代表も務める片山正通が担当した。

音と映像、スペースの融合がテーマの展覧会にふさわしく、参加作家は映像、アニメーション、ダンス、グラフィック、広告、イラストレーション、プログラミング、メディアデザインなどの領域を横断しながら、多彩な感性をもって新しい表現に取り組む9組。彼ら独自の視点でコーネリアスの音楽を解釈し、その音と連動した映像作品を制作した。

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View of Gallery 1 Entrance Photo: Atsushi Nakamichi (Nacása & Partners Inc.)

会場では、コーネリアスの曲が永遠とリピートされているにも関わらず、飽きるどころか、会場内の全てが音楽とシンクロし、むしろ新しいムードや世界が広がっていく。片山正通によって作り出されたダイナミックなスペースで、「音楽建築空間」が構築され、映像・インテリア・グラフィックからテキストまで、空間内のあらゆる要素がひとつの音楽と関係しあい、それぞれが固有性を発揮しながらも、その全てが音楽を軸に連動し、調和し続けている。

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Studio Live Video: Tetsuro Inagaki Photo: Atsushi Nakamichi (Nacása & Partners Inc.)

『昨年の初夏、二子玉川駅のブックファーストでGINZAという女性誌を立ち読みしていたところ、当時ちょうどリリースされたばかりのコーネリアスのニューアルバムについてショーン・オノ・レノンが語ったエッセイを見つけました。その文章の中で、彼がコーネリアスの音楽を「He paints a kind of audio architecture.」と表現している一節に出会いました。音の建築。まさに言い得て妙!と私はこの言葉をすっかり気に入ってしまい、この言葉を頼りにしながら、あるひとつの展示構成について考えはじめました。それがこの AUDIO ARCHITECTURE展です。』『音楽を、音楽以外のメディアによって表現し尽くすことは不可能です。しかし私たちは、それが不可能であるからこそ、敢えてそこに接近しようと試みたり、互いに呼応し合うなにかを見出そうとしてしまうのだと思います。(中略)具体的な展示にあたっては、独自の方法論で表現やデザイン活動に取り組み、今回の「AUDIO ARCHITECTURE」というプロトコルを豊かに再解釈して頂けそうな作家やデザイナーの方々にお声がけし、ご参加頂きました。』
– 中村勇吾(ディレクターズ・メッセージより引用)

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