ジェフ・クーンズ展「ナウ」

HAPPENINGText: Alex Hiroki Coles

ダミアン・ハーストのアートコレクションを展示するギャラリーとして2015年にオープンした、ロンドンのニューポート・ストリート・ギャラリーにて、ジェフ・クーンズの展覧会「ナウ」が10月16日まで開催されていた。英国では2009年開催の「ポパイ・シリーズ」展以来、7年振りの大規模個展となる。

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「Acrobat」 Jeff Koons, 2003-2009年, ポリクローム・アルミニウム、 亜鉛メッキ鋼、木、ストロー, 228.9 x 148 x 64.8 cm © Jeff Koons

ジェフ・クーンズは、70年代後半より、大衆の趣味や欲望の受容と美に関連する多様なテーマを模索し続けている。本展では、35年に及ぶクーンズの比類なきキャリアを振り返ろうと、1979年から2014年までに制作された30点を越える絵画や立体作品を展示した。展示作品はいずれもハーストのコレクションであるが、これほどの数の作品展示は英国でも初となる。

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Jeff Koons「Now」展示風景 Photo © Prudence Cuming Associates Victor Mara Ltd. © Jeff Koons

最初のセクションでは、活動初期の作品を展示。クーンズが永続的に取り組んでいるテーマのひとつ「インフラタブル」(膨張・膨らませる)の概念を示すように、会場には英国フーバー社製の掃除機を用いた作品「The New」シリーズ(1980-1987年)が至るところに展示されていた。この「ナウ」展は、彼がいかに早くから「消費社会の象徴」について考え始めていたかを実証する内容でもある。

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「Three Ball 50/50 Tank (Spalding Dr. JK Silver Series)」 Jeff Koons, 1985年, ガラス、鉄、蒸留水、バスケット・ボール3個, 153.7 x 123.8 x 33.7 cm © Jeff Koons

次の展示室では、1985年にニューヨークで初めて開催した個展の作品を展示。マルセル・デュシャンのレディメイドの概念(大量生産された日用品を「オブジェ」として扱い、作品に取り込む)を拡張した、初期の代表作の一つ「スリー・ボール・50/50・タンク」(1985年)は、蒸留水を半分まで満たしたガラス張りの水槽の中に3つのバスケット・ボールを浮かべた抽象彫刻作品だ。

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