でんすけ28号

PEOPLEText: Taketo Yanagihara


Controller of Controller”, 2016 © でんすけ28号 on Vimeo.

この度は、デジタル・フィルム・フェスティバル「DOTMOV 2016」の優秀作品として2作品の選出おめでとうございます。まず作品「Controller of Controller」のコンセプトを教えていただけますか?

現実世界とゲーム内の仮想世界の境が曖昧になっていく様子を描いた作品です。近年話題のヘッドマウントディスプレイを始めとするVR機器の普及や、常に進化し続けるCGのリアリティなどによって、より強力な没入感をプレイヤーに与えることが可能になった現代のゲームシーンから着想を得ました。階層構造になっているこのアニメーションはある意味危ぶまれるその没入感を表したものでもあります。実在するゲームあるいはゲーム史に関連する小ネタやオマージュ要素を取り入れるなどして、ゲームをプレイしてる感覚で制作していました。


Your Gay Thoughts To Disappear”, 2016 © でんすけ28号 on Vimeo.

作品「Your Gay Thoughts To Disappear」(ユア・ゲイ・ソーツ・トゥ・ディサピアー)については、選出者であるイアン・アンダーソンも述べているとおり、分析すべきではないのかもしれませんが、発案のきっかけなどを教えていただけますか?

最初に曲を聴いた時の第一印象が全てでした。鳥のさえずりに似た音や木が燃えるような音などの、自然に囲まれた中で起こる環境音とスローなテンポの曲調から原始的な印象を受け、このMVに関しては裏を返したり、突飛な演出をすべきではないと素直に思えたので感じたままを映像にしました。イアン・アンダーソン氏のコメントに感謝します。


TWISTSTEP”, 2016 © Pa’s Lam System

クライアントワークである「Pa’s Lam System」(パズラムシステム)など若手映像作家として注目されるノガミカツキ持田寛太との共作はどのような作品でしょうか?

「TWISTSTEP」(ツイストステップ)がリリースされるにあたってパズラムシステムのキーアイテムでもある仮面が新たに作られたのですが、それを全面に押し出したMVになっています。ツイストステップの曲調やパズラムシステムの既存のイメージから三人でアイディアを持ち寄ってそれらを取捨選択しながら一つに融合させた作品ですが、結果的にはノガミカツキの他に類を見ない奇天烈な発想と持田寛太の精錬された動きと描写力など、それぞれの持つ特徴が顕著に現れながらもそれらがうまく組み合わさり、この3人でしか作れない特別な映像になったと思います。

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© でんすけ28号

またクライアントワークそのものの位置付けをどのように考えていらっしゃいますか?

ものにもよりますが、クライアントワークにしても自分のパーソナルな興味や事柄に紐付けてしまって、制作する上で気兼ねなく作業できる環境を構築してしまうようにしています。もちろん自分一人の問題ではないので難しいところもありますが、どんな内容でもまず自分が納得できるものを作り上げることが第一だと考えています。最近は自分の作風や考えを活かせるような仕事が増えてきたので、あまりクライアントワークという括りで意識することは少ないです。

最後に今後の展望や予定をお聞かせ下さい。

あまり時間が取れないのですが、いくつか形にしたいものがあるので新作のアニメーションを作れたらいいなと思っています。それと最近は様々な方達と一緒に一つのものを作る機会が多くなり、一人ではできないような面白くなるであろうプロジェクトをいくつか進めているので、楽しみにしていただけたらと思います。あとナイキのスニーカーが好きなのでナイキ関連の仕事に携わることが今の目標の一つです。(余談ですが「Contoroller of Controller」の序盤にあるキャラクターセレクト画面に登場するキャラ達の名前はナイキのスニーカーの名前から引用しています。)

Text: Taketo Yanagihara

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