ピエール・ユイグ「アンティルト・ホスト」展

HAPPENINGText: Shuhei Ohata

現在、表参道にあるアートスペース、エスパス ルイ・ヴィトン東京にて、ピエール・ユイグ「アンティルト・ホスト」展が開催されている。ピエール・ユイグは現代を代表するアーティストの一人。1962年生まれ。パリとニューヨークを拠点に活動している。今回は、現代アート作品の所蔵と展覧会の主催を行うファンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションの中から彼の2つの映像作品が紹介されている。

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Pierre Huyghe「Untilled Host」展 Corridor © Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

会場の入口に着くと、受付のスタッフから手前の作品が20分、奥の作品が2時間それぞれ繰り返し上映している事を聞かされ、その上映時間の長さから一瞬観るのをためらった。だが、せっかく来たのに手ぶらで帰るわけにはいかない。気を取り直して会場に足を踏み入れた。

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「A Way in Untilled」© ADAGP, Paris 2016

「未耕作地の場景」(A Way in Untilled)(2012年)はドクメンタ 13で発表した、カールスアウエ公園内(カッセル、ドイツ)でのインスタレーション作品を映像化したもので、横たわる裸婦の彫像とその周辺で展開される動植物の物語である。始まると、画面いっぱいに大きく映し出された無数の蜂の動きが目に飛び込んでくる。そして、増幅された羽音が会場を響き渡り、観るものを虫のような小さな生き物の視線へと導いていく。蜂の群れは養蜂家の巣箱ではなく、何故か横たわる裸婦像に次々と集まって来ている。断片的に太腿や腹部が映し出され、そこを這うように伝ってゆく蜂の姿は、不思議と無機質な裸婦像を艶めかしいものへと変えていった。しかし、その全体が映し出された時に思わず息を呑んだ。彼らは、その頭部を覆い尽くすように巣を作り上げていたのだ。

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「A Way in Untilled」© ADAGP, Paris 2016

この異様な光景は、人智学のルドルフ・シュタイナーの記述を思い起こさせた。シュタイナーは食べ物と人の体に働きかける部分の関係についても多く語っている。その中で蜂蜜は脳に働きかける大切な食べ物だとしている。興味深いのは蜂の巣が活動している時の温度が人間の脳の温度と一致すると言うのだ。以前その事を調べた時に、日本の蜜蜂のものは、西洋の蜜蜂のものよりも多少高めではあるが、確かに一致していた。活発に活動する蜂の巣=脳の周りでは、腐敗する死骸を喰い入る犬や虫の姿が繊細に描写されている。蜜蜂は、周囲の環境に影響を受けやすいため、蜜蜂が存在出来る事が自然環境を図るバロメーターである事は一般的にもよく知られている。そうした蜜蜂の特徴と、私たちの脳との関係がこの裸婦像を通して結びつけられている。

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