スティーブ・ベイカー

PEOPLEText: Aya Shomura

斬新で創造性に富んだクリエイティブ・ワークで、私たちをいつも驚かせてきたクリエイティブ集団「Tomato」(トマト)。その設立メンバーで現最高経営責任者であるスティーブ・ベイカー氏が、「Eat Creative」(イート・クリエイティブ)のスティーブ・マーティン、アリスン・ジャンベール氏らと2004年に立ち上げた「Project Esin」(プロジェクト・エシン)がまもなく本格的に始動する。彼の生い立ちや日本への想い、そして日本を皮切りに10年ぶりに開催されるワークショップ「Esin」(エシン)の今後の展開についてインタビューした。

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SHIFTの読者にはデザイナーやアーティストなどクリエイターが多いのであなたのことをご存知の方も多いのですが、改めて自己紹介をお願い致します。

のどかで退屈なイングランド中部の田舎で生まれ育ち、リーズ、マンチェスター、リバプール、ロンドンと移り住みました。2004年から東京に住んでいます。仕事はずっとクリエイティブ業界です。学生時代はバンドのマネージャーで、音楽で生計を立てようと悪戦苦闘しましたが、20代のうちに両親のいう「ちゃんとした仕事」に就くことにし、いくつか経験もしました。

続いて「Tomato」設立の経緯を教えて下さい。

きっかけは単純でした。シンガーソングライター「ブラック」ことコリン・ヴァーンコムのマネージャーをしていた私が、A&Mレコードのアートディレクターだったジョン・ワーウィッカーと知り合ったのです。音楽ビジネスは恐ろしく不安定なので、私たちは仕事を多角化しようと考えました。ジョンが一緒に働いてきた人々で、アプローチや価値観を共有できる仲間たちと、これまでにないタイプの会社を作ることにしたのです。

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「Esin」(エシン)を考えついたきっかけや、開催地の選出理由(なぜ東京、札幌、NY、ベルリン、カッセル、ロードアイランドを選んだのか)を教えて下さい。

行き先を見失って、孤独を感じている大勢のクリエイター。彼らに助けが必要だと気づいたのが原点です。東京を選んだのは、海外のクリエイターたちに注目されている都市で、「Tomato」の知名度が高かったから。台北など東京以外のワークショップは、すべて現地からの招聘で開催されました。札幌のICCとは設立前からの付き合いです。

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以前も東京、札幌でワークショップを行なっていらっしゃいますね。その際の日本の参加者のモチベーションについてどのように感じましたか?

日本のクリエイターたちとの交流はいつも楽しい。親近感を持って、彼らの奮闘ぶりを自分自身に重ね合わせたりします。壁を打ち破る難しさを知っている分、ほとんど実現不可能なタスクに挑むワークショップ参加者たちの意志の強さと勇気に感嘆します。札幌のエネルギーも大好き。開拓者精神があり、新しいことに挑戦する異端児タイプが多く、自分の信念で行動する人たちがいます。これらはみな創造と革新に大切な要素。避けられない挫折から立ち上がるには、たくさんの自信が必要なのです。

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今回、改めて日本で「Esin」を開催するにあたり、特別な想いはありますか?

「Esin」の夢は、学校を作ること。創造性を刺激して、世界中の才能が集まるような学校です。プロデューサーやマネージャーも育成して、新しいビジネスの土壌をつくりたい。作品発表や展覧会を目印にさまざまな領域の思想家が集まります。この目標に向かって、東京や香港の同僚たちと共に働いていますが、まだまだ多くの人々から支援をいただかなければ実現できません。地方や中央の政府はもちろん、長い視野でイノベーションを育てる未来志向の企業と関係を構築する必要があります。今は希望に溢れていますが、もちろん多少の不安も…でもこれは必要なことです。

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ワークショップ参加者は期間中、個人としてだけではなくグループでの意見交換や作品制作、発表を行なうこととなり、達成感や刺激、新しい挑戦への高揚感と同時にストレスも抱えることと思います。それも本ワークショップでの醍醐味でしょうか?

その通りです。ストレスも、締切も、失敗も重要です。失敗しない人は、本気でチャレンジしていません。そして衝突も必要です。これらすべての要素が創造力をかきたてるのです。なかなか簡単には行きませんよ!

ところでオフタイムはどのようなことをして過ごすのでしょうか?

仕事のことを考えています。そうしているうち、自分がやっていることを仕事だと思わなくなりました。

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幼少期、10代、20代、30代それぞれに夢中になったことを教えて下さい。

いつも未来のことを考えて夢想していました。子供の頃からSFファンで、SF小説の古本をペーパーバックで買い漁ったものです。14歳のとき、将来はSF小説を書こうと心に決めました。予想よりちょっと時間がかかりましたが、最終的にその目標も達成しています。そしてもちろん、音楽も大好きです。

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最も興味、関心を持っていることは何ですか?

自分がやっていることすべてです。

今、会って話をしてみたい人(ワークショップの参加者以外で)、一緒に仕事をしてみたい人はいますか?その理由も教えて下さい。

「Esin」の夢の実現を助けてくれるビジョンや資質を持った人なら、どんな人にでも会いたいと思っています。

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最後に、今後「Esin」はどのように展開していく予定でしょうか?

準備が整い次第、日本以外でもワークショップを開催しようと計画中です。おそらく香港を皮切りに、台北など招聘を受けた都市で開催します。学校を創設して、その学校を支援するビジネスモデルが実現可能であると証明できたら、海外にも広めていきます。国ごとに学校を作るのか、地元の専門家に「Esin」のビジネスモデルを提供するのかは未定。こんなクリエイティビティーを触発するグローバル・ネットワークができたら、素晴らしいと思いませんか?

Esin 第1回東京ワークショップ
会期:2015年2月16日(月)〜27日(金)*実質10日間
クリエイティブ・リーダー:ジョン・ワーウィッカー (Tomato 創設者、モナシュ大学教授)、グラハム・ウッド(Tomato 創設者、The Gild エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)、ジョエル・バウマン(カッセル芸術大学学部長)、吉川 徹 (クリエイティブ・ディレクター、リボネシア ディレクター)
会場:Maker’s Base(目黒川沿いの工場跡スペース)
住所:東京都目黒区下目黒2-5-12
定員:20〜30名
参加費:300,000円(税込)
内容:コチラ
http://projectesin.com

Esin 第2回札幌ワークショップ「Memory is the Medium」
会期:2015年3月1日(日)〜4日(水)
クリエイティブ・リーダー:グラハム・ウッド(Tomato 創設者、The Gild エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)、ジョエル・バウマン(カッセル芸術大学学部長)、吉川 徹 (クリエイティブ・ディレクター、リボネシア ディレクター)
会場:ICC(インタークロス・クリエイティブセンター)
住所:札幌市白石区東札幌5条1丁目1-1
定員:15名
参加費:50,000円(税込)
http://projectesin.co

Text: Aya Shomura
Translation: Tazlu Endo

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