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アキ・カウリスマキ「白い花びら」× ハンツヴィル

HAPPENINGText: Ayumi Yakura

北欧・日本文化の交流と、青少年の異文化体験、震災チャリティを主な目的に、全国各地で展開している「みゆき野映画祭 in 斑尾 2014〜北欧・日本国際短編映画祭」が、今年は札幌の北海道大学クラーク会館講堂をオープニング会場として、2月1日に開幕した。

プログラムは、映画に限らず北欧文化を三部構成で紹介するもので、第一部は、札幌を拠点に活動する、日本では数少ないフィンランド伝統楽器「カンテレ」のプロ奏者2名によるミニコンサート。第二部では、フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトの誕生日(2月3日)を記念し、フィンランドセンターのウッラ・キンヌネンが通訳を介して講演。若き日のアアルトが設計した映画館や、関連する文化的ムーブメントについて、当時の具体的なエピソードを交えて写真とともに紹介した。

そしてメインイベントである第三部、アート・フィルム界の巨匠で、フィランドの映画監督アキ・カウリスマキによる1999年のサイレント映画「白い花びら」(原題:Juha)が、この来日がバンドとしての日本初演奏となったノルウェーの3人組、ハンツヴィルのインプロヴィゼーション(即興生演奏)とともに上映された。

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© Andreas Ulvo

ハンツヴィルは、SHIFTによる事前インタビューで『参加者は、これまでとは全く別の体験を期待できると思います。ただの映画ではなく、コンサートでもないのです。そのどちらでもあって、どちらでもない、他のものです。』と回答していた。
サイレント映画と即興生演奏。二つの効果が重なり合う瞬間に立ち会った時、観客はその場で何を体験し、何を共有することができたのだろう。

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© Aki Kaurismäki

映画の原作は、フィンランドの国民的作家ユハニ・アホの著名な小説だ。田舎でつつましく暮らす夫ユハと妻マルヤの家に、都会の男・シュイメッカが突然現れ、純粋無垢な若い妻を「都会で贅沢をさせるよ」と誘惑。別の人生に目が眩んだ妻は、満足していた夫との生活に息苦しさを感じるようになり、男と家を出る。スクリーンには川面を流れゆく白い花びら。やがて妻は、憧れていた都会の荒んだ現実に呑み込まれてゆき、失った幸福の美しさを思い知ることになる。

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