ライト・ショー

HAPPENINGText: Mike Sullivan

サウスバンクセンターは1951年にフェスティバル・オブ・ブリテンの一環として設立された、テムズ川の南にあるアートセンターだ。多種多様の文化的なイベントが行われるヨーロッパ最大のアートセンターで、これまでに何千ものミュージシャンやアーティストがここでイベントをし、何百万人もの観客に感動を与えている。21エイカー(約8万5千平方メートル)の敷地には、ヘイワード・ギャラリーを始め3つの建物がある。1968年にオープンしたこのギャラリーは、当時名を馳せたブルータリズムの典型的な特徴を持ち、内側も外側も見える打放しコンクリートの建物が際立っている。所蔵作品展示ではなく、年に3、4回展覧会を開催しており、今年1月末から4月末に渡って一風変わった展覧会が開催された。60年代から今に至る20人以上ものアーティストによる「ライト・ショー」は、光がアートとしてどのように進化したかを、ライト・ショーで提示した。

ライト・ショー
“Magic Hour (2004-2007)”, David Batchelor, © the artist/DACS, Courtesy the artist and Galeria Leme, São Paulo, Photo: Linda Nylind

展示会場に入ると、すぐさまレオ・ヴィジャレアルの「シリンダーII」に目を奪われる。約2万個に及ぶLEDライトからなるこの作品は延々と変化し続けるパターンや形がプログラムされている。ライトは反射するつり下げられた棒で囲まれ、それ自体が暗くなったり明るくなったりして、始まりも終りもなくディスプレイされている。側には、デービッド・バチュラーの「マジック・アワー」が壁に向かい合って設置され、日没後のラスベガスに広がり始める人工的な多くの光を表現している。廃棄物場などから集めてこられ新しい命を与えられた商業用のライトは、意味ありげに壁に向き合い、黒い影となり、後ろから当たる光で輪郭を照らし出す。

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S=U=P=E=R=S=T=R=U=C=T=U=R=E (‘Trace me back to some loud, shallow, chill, underlying motive’s overspill…’) (2010), Cerith Wyn Evans, © the artist, courtesy the artist and White Cube, Photo: Linda Nylind

「シリンダーII」と、「マジック・アワー」から上の階へのぼるとケリス・ウィン・エヴァンスの「S=U=P=E=R=S=T=R=U=C=T=U=R=E」が現れる。この3つの筒状の光のイルミネーションは、まるで呼吸のようにゆっくり明るくなり、そして暗い闇へと戻る。この作品はスピリット・ボイスによる死者とのセッションのときに与えられたメッセージを使った詩からインスピレーションを受け、2つの世界の間に存在する生命を表現している。近くのドアから、プロジェクターの光のみ映し出されている暗闇へ導かれる。アンソニー・マッコールの「ユー・アンド・アイ・ホリゾンタル」は、観る人が相互作用できる3Dの光のプロジェクションがあるだけの真っ暗な暗闇に観覧者を放り出す。

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“Exploded View (Commuters) (2011)”, Jim Campbell, © the artist, Courtesy Bryce Wolkowitz Gallery, New York and studio of Jim Campbell, Photo: Linda Nylind

下の階には、小さく魅力的なビル・カルベールの作品「バルブ・ボックス・リフレクションII」を見ることができる。1975年にまでさかのぼるこの作品は、白熱電球を鏡に映し、電球が消えているにも関わらず鏡に映し出された電球は点灯しているという、不可解な視覚的な仕掛けを見せる。同じ部屋では、ジム・キャンベルの「エクスプローデッド・ビュー」が展示されている。光ったり消えたりを繰り返す1000個程のLED電球が天井から吊るされたワイヤーのグリッドで構成され、ランダムに点灯しているように見え、他の場所から見るとその影も動いてるようにも見える。何かを考える事なしに認識できる作品にしたいというアーティストの考えのもと、自動的に変化する影の動きが美しい作品となっている。

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“Slow Arc inside a Cube IV (2009)”, Conrad Shawcross, © the artist, Courtesy the artist and Victoria Miro Gallery, London, Photo: Linda Nylind

コンラッド・ショークロスの「スロー・アーク・インサイド・キューブIV」は専用の部屋に展示された、正直いってとても魅力的だが目が回るような作品だ。部屋の真ん中に設置されたケージの中のライトが前後に動き、格子状の影が絶えず拡大、縮小を繰り返すこの作品は、物理学、形而上学、生物学、幾何学、哲学、宇宙論などに着想を得ており、学際的な作品に仕上がっている。反対の部屋には、ケイティ・パターソンの強烈な印象の作品「ライト・バルブ・トゥ・シミュレート・ムーンライト」が展示されている。近年人工的な光のせいで自然な月の光を見ることが難しくなってきている。そこでパターソンは月の光を複製した電球作品を制作した。ほとんど全ての人が本物の月の光を見たことがあるにも関わらず、あたかも見たことのないもののように感じられるような作品にするというような挑戦なのだ。この作品は月の光の寿命を与えられる程、十分に供給できる程の電球が用意されている。

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“Rose (2007)”, Ann Veronica Janssens, © the artist/DACS, Photo: Linda Nylind

階段をのぼったギャラリーで最初に見ることができる作品は、別の階へと続く見せかけの階段だ。これは、ブリジット・コワンツの作品による錯覚だ。蛍光管の光のステップはがのぼりの仮想階段をつくり出す。一方、アン・ヴェロニカ・ヤンセンズの「ローズ」は、スポットライトからの光のビームと人工的な霧を使って、光の彫刻を生み出し、光のビームがまるで立体の星のように見える。意識の状態の変化を再現しようとしたこの作品は、人間の知覚の限界を押し広げる。

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“Chromosaturation (1965-2013)”, Carlos Cruz-Diez, © the artist/DACS, Cruz-Diez Foundation, Photo: Linda Nylind

この展覧会にはまだ2つ紹介しなくてはいけない作品がある。1つ目は、ジェニー・ホルツァーの「モニュメント」。このパワフルな作品はLEDの書き込みの機能を利用しており、片方がもう一方に積み上がる形で2つの文章をエンドレスで送り続けている。内容は、兵士、関係者、拘留者から入手したアメリカの戦争やテロに関する政府の文書を使用している。2つ目のオラファー・エリアソンの「モデル・フォー・タイムレス・ガーデン」は、展示されている中でも最も見る人を混乱させる作品といえる。瞬時に水が凍ってしまったような錯覚を覚える27もの噴水の作品は、ストロボ照明がつくり出している。

Light Show
会期:2013年1月30日〜4月28日
会場:Southbank Centre
住所:Belvedere Road, London SE1 8XX
TEL:+44 (0)20 7960 4200
http://www.haywardlightshow.co.uk

Text: Mike Sullivan
Translation: Satsuki Miyanishi

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