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モグラグ VOL. 04「日本」

THINGSText: Satsuki Miyanishi

東京国分寺の小さなアートスペース「mograg grage」から、ポップアートブック「mograg Vol. 04」(モグラグ)が発売された。これまで毎年発行されてきた「mograg magazine」を大幅に拡大し、より濃密なアート作品の鑑賞に特化したアートブックへとスケールアップしている。制作にあたり、クラウドファンディングの仕組みも活用された。

モグラグ Vol. 04

モグラグガレージはオーナーである太田素子と、ディレクターで絵描きの沖冲.が住んでいる自宅のガレージを改装して2008年にオープンした。いかにも取っ付きにくい場所ではなく、彼らがシンプルにカッコいい作品や、おもしろい作品をつくっていると思える作家の展覧会を開催しながら、それらの作品が気にいったアートファンが気軽に集える、アートの秘密基地として運営している。その活動はギャラリーでの展示やイベントに留まらず、アートマガジンの発行やラジオなど多岐にわたり、アートへの入口を広く提供している。

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アートブック「mograg」のメインコンセプトは「誌上展覧会」。まるで展覧会に訪れたかのように、その回ごとのテーマに基づいたアーティストの新作、創作のテーマなどを深く掘り下げたインタビュー、コラムなどを楽しむことができる。「TREAT」(トリート)、「ホラー」、「GIANT」(ジャイアント)と続いてきた今号第4弾のテーマは「日本-JAPAN-」。

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日本というテーマのもと、作品制作の着想はアーティストよって様々だ。イラストやマンガを中心に制作を行うアーティスト・ICHASU(いちゃす)は、浮世絵や、アニメなどの日本にある代表的なビジュアル、技法をオリジナルに表現したと語っている。テイストの違った作品をどれも「対」の関係を持たせることで、それぞれの関係性を想起させる作品となっている。「選ばれなかった未来」をテーマに制作を続ける岡野智史と野村康生のユニット「WASTE STYLE」(ウェイスト・スタイル)の作品は、モチーフに福島第一原発を選択した。画素の荒い印刷物のような作品から、思わずスト―リーを想像してしまう。

自分自身を日本の一部として捉え、作品を制作をしたアーティストも目立つ。日本らしい何かを堅苦しく描くのではなく、彼らが住む場所、見ているもの、感じていることをそのまま描く。ありのままの彼らの表現こそが、本当の今の日本の姿なのかもしれない。とにかく視覚に飛び込んでくるカラフルでポップなアートブック「mograg Vol. 04」をぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。

mograg Vol. 04「日本-JAPAN-」
発売日:2013年5月10日(金)
価格:2,100円
ページ:164ページ
言語:日本語、英語
A4変形横型
発行元:mograg Publication
https://www.mograg.com

Text: Satsuki Miyanishi

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