NIKE 公式オンラインストア

「マハト・クンスト(アートを作る)」展

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

ドイツ銀行クンストハーレは名前の通りドイツ銀行が母体となっている美術館だ。ドイツ銀行は文化活動に力を入れ、美術作品の購入を続け、多くのコレクションを所蔵している。1997年には世界各地に美術館を持つソロモン・R・グッゲンハイム財団と共に、ドイツ・グッゲンハイム美術館をベルリンに設立した。そこで所蔵作品の展示を行う一方、ドイツを代表する画家ゲルハルト・リヒター、現代彫刻の奇才アーニッシュ・カプーア、新しい彫刻のあり方を模索し続けるガブリエル・オロツコといった世界的な巨匠の展覧会を開催してきた。

macht_kunst08.jpg
Photo: Mathias Schormann © Deutsche Bank KunstHalle

こうして名立たるアーティストたちの展示によってベルリンと世界のアート・シーンを結びつけてきたのだ。つまり、かつてここは世界とベルリンのアート・シーンを繋ぐ場所となっていた。しかし2013年の2月に世界的な文化財団との共同作業は終わりを迎える。そして世界へと繋がる場所に並んだのは無数の素人や学生の作品だった。

macht_kunst07.jpg
Photo: Mathias Schormann © Deutsche Bank KunstHalle

ドイツ銀行クンストハーレはドイツ・グッゲンハイム美術館と異なる方向性を打ち出している。ここでベルリンと結びつけられるのは世界のアート・シーンであってもその中心の動きではない。開館に合わせ明らかにされた基本方針によれば、アジアやアフリカや南米などの国々に焦点を当てた展覧会やイベントを行うという。

過去に取り扱っていたのは世界的に活躍するアーティストであり、その多くは美術界の中心であるヨーロッパやアメリカの国々のもの。それとは対照的に今後は美術の世界で注目を浴びにくい周縁の国々を取り扱う。本展はこうした美術界の世界地図に当てはまるものではないが、基本方針に従うものと言える。なぜならこれからキャリアを積むアーティストやアマチュアといった人々に光を当てようとしているからだ。つまり、これまでのように美術界の中心ではなく、美術界の周縁にいる人々までも紹介することになるのだ。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE