タイガー・トランスレート・オークランド 2012

HAPPENINGText: Hiromi Nomoto

夜が深くなるごとに観客は増え、今回のタイガー・トランスレートは盛況のうちに終わった。ミュージシャンでは、都市オークランドで人々が話すエモーショナルな言葉をマッシュアップした音楽「グリッティ・シティ」を制作したティム・タプソーが選ばれた。アーティストで選ばれたのは、音楽「The Raw」からインスピレーションを得て、遠くまで続く東洋的な景色の中にいる虎と蛇を描いたグラフィック・アーティストのゲイリー・ヨンだ。彼ら2人はドバイへの出場権を得た。

7P1090927.jpgゲイリー・ヨンの作品 Photo: Tiger Translate
左からアーティストのキット・ローレンス、タイガービールのケニー・タン Photo: Hiromi Nomoto

シンガポールのタイガービール社から来ていたケニー・タンは、『混ぜることが面白い。東と西、音楽とアートを融合させるんだ』と言う。なぜこれほども彼らを支持するのかと聞くと、『それは、ミュージシャンやアーティストをサポートする人がいないからです。他にもスポーツのサポートもしています』と教えてくれた。『あなたは、タイガー・トランスレートのどんなところに面白さを感じる?』と質問を返された。

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左からペイシャン・チェン、プレマ Photo: Hiromi Nomoto

参加ミュージシャンだけでなく、観客たち、これに携わった多くの人々にとって、今回のタイガー・トランスレートが特別であったように、私自身このオークランドでの取材を楽しんだ。例えば、ヨシとトムやタイガー・トランスレート関係者は、ケー・ロードにある「BIZ DOJO」をスタジオとして使用した。そこは一つの空間内に、イベントスペース・スタジオ・ショップ・カフェ・アートギャラリーが入っており、ミュージシャン・アーティスト・デザイナー、様々な人が集まってくる。BIZ DOJOのニック・シューリングはよく自分でつくった歌を歌っていた。ジャンルなど無い自由な交流があった。イベント当日、多くの音楽に触れて、その今まで感じていたものとは違った楽しさや、アートとの融合の様子を見ることができた。これは大きな衝撃と感動であった。

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左からリース・ジャンセンとクリス Photo: Hiromi Nomoto

タイガービールは、音楽・アート・デザイン・スポーツを支持している。彼らの活動の目的が、広告や宣伝のためだけとは決して言い切れない。なぜなら関係者一人一人が情熱を持ってタイガー・トランスレートをつくり上げているからだ。このような企業が増え、ミュージシャンやアーティストに多くのチャンスが与えられることを願う。私のいる社会では、経済発展が最重要で、文化は中心から外れていると感じられる。そのため、文化に携わる人々はいつも辛い立場にある。私は幸運にもタイガー・トランスレートに同行でき、これほどに文化を重視した環境があることを知り衝撃を受けた。サポートしてくれる企業の存在は、文化を支える大きな希望になるのだ。

記事制作のヒントを私に与えてくれたペイシャン・チェンに感謝。タイガー・トランスレート・ドバイは2013年1月に行われる。

タイガー・トランスレート・オークランド 2012
日時:2012年11月17日(土)21:00〜
会場:THE STUDIO VENUE
住所:340 Karagahape Road, Auckland
https://www.tigertranslate.com

Text: Hiromi Nomoto
Photos: Hiromi Nomoto

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