ア・セレブレーション:英国現代彫刻展

HAPPENINGText: Michael Sullivan

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Dreamcatcher, Marilène Oliver, 2009, Laser-cut acrylic, fishing wire and ostrich feathers, 150 x 216 x 50 cm, Ed. 3

セントラルロンドンのコーク通りを歩いていると興味深い眺めのウィンドウがある。マリリン・オリバーにより制作された「ドリームキャッチャー」だ。レーザーカットアクリル、釣り糸、そしてダチョウの羽根でつくられており、万歳をした人間がダチョウの羽根の固まりの上に浮かんでいる姿を映し出している。「ドリームキャッチャー」というタイトルは夢を保持する方法を提案すると同時に、この作品を見ていると誰かの夢を覗き見している様であり、自身も羽根の固まりの上に浮かんでいるのを想像できるかの様だ。現在、ビュークス・アーツ・ロンドン・ギャラリー は「ア・セレブレーション:英国現代彫刻展」を行っており、最初に目に入る作品が夢の様であるのは、まさしくとも言える様だ。ギャラリーは1993年に優れた英国の現代アートの展示を目的にオープンされた。優れている英国の現代アートであれば新人でも著名なアーティストでも問わない。他のギャラリーに囲まれ、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの後ろに位置するこの通りはロンドンのブリティッシュアートの中心の一つである事は間違いない。ギャラリーは2階建てで良く照らされ、十分なスペースがあり展示にはもってこいの場所だ。

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Maquette for Three Piece, Reclining Figure (Draped), Henry Moore, 1975, Bronze, 15 x 25.5 x 15 cm, Ed. 7

ブリティッシュアートの70年を展示しているこの展覧会では一つ一つの作品に特徴や特性があり、一つの作品に注目するのは難しい。しかし、ブリティッシュアーティストによる作品がいきいきと飾られているのは誇らしい様だ。ヘンリー・ムーアは1898年に生まれその長い人生の間に世界的に有名となった。彼の作品はその抽象的な形と長く曲がった形で知られている。このギャラリーでは1975年の「三つに分かれた人体」(Three Piece Reclining Figure)の彼のマケット(模型)を見る事ができる。ヘンリー・ムーアはこの作品を2人の人間間の関係の問題、そして種類であると述べた。

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Betty Boop, David Mach, 2011, Matchsticks, 47 x 41 x 30 cm, Ed. 4

ギャラリーに入るとデビッド・マッチによる全体がマッチ棒で制作された「ベティ・ブープの頭」に必ず目が行ってしまう。昔のアニメさえアートになってしまう。ベティ・ブープがテレビで放映されなくなった今も社会の心理にキャラクターが生きている事に、アートを通して気づかされる。その近くでは卵形に削られた大理石の彫刻がパースペックス(英国の航空機風防ガラス用の透明アクリル樹脂)の台座にのっている。ステファニー・カールトン・スミスによる「ラブ・ビギンズ」だ。抽象的な彫刻でそのタイトルと作品自身の関係、またはアーティストのメッセージを考えさせられる。

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Fighting Cocks, Elisabeth Frink, 1987, Bronze, 66 x 84 x 30.5 cm, Unique

同じ部屋にエドワード・パオロッジによる小さな銅像作品「ホース・ウィズ・アナトミー」がある。複数の箇所の皮が無く、中の筋肉が見える様になっている馬の形の作品だ。エリザベス・フリンクの「ファイティング・コックス」は一羽の雄鶏が倒れ込んで勝利者を見上げる相手の鶏の前に勝ち誇った様子で立っている様子を表している。人間にも置き換えられるであろう作品は野生を象徴すると同時に英雄を偶像化する人間の愚かさも表現されているかの様だ。部屋の後ろの方ではリン・チャドウィックの「ステアーズ」が置かれている。この大きな作品では3段の階段と2つの女性の形がある。一人は上り、一人は下がっている。どちらも両腕が無く、ピラミッドの様な頭をしている。一見、階段に居る人の様であるが、それは人間ではなく、それぞれが各自の方向に向かい、孤独感を表している。リン・チャドウィックの作品は下の階でも見る事が可能だ。「マケットII・テディボーイ・アンド・ガール」は1956年につくられた作品で2人うっすらと男性と女性である形が両足で立っており、1人のピラミッドの様な頭をした女性が1人で座っているという作品だ。この2つの作品は繋がり、孤独、そして疎外を表している。

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Ironed Out I, Peter Randall-Page, 2009, Iron, 29 x 41 x 64 cm, Unique

メインギャラリーから下りたこの階でも多くの作品を見る事ができる。アンジェラ・コナーズによる「ペア・オブ・センチナルズ」はステンレス鋼、マーブルダスト、樹脂でつくられており、レーチェル・シュワルムの「ロスト・コンティネント」はアラバスター、顔料、そしてガラスでできている。ピーター・ランドル・ページの「アイロンド・アウト・アイ」は鉄でできている。この展覧会で見る事のできるアーティストは素晴らしく、その作品は感銘を与える。全ての作品は販売されているが、見るだけでも価値のある物と言えるだろう。ギャラリーはブリティッシュアートのもっとも優れた作品を展示するという難題を目的に、彫刻をほめたたえるこの展示や、次回のアーティストのレイ・リチャードソンによる展覧会など、ギャラリーがその目標を達成している事が表れている。

ア・セレブレーション:英国現代彫刻展
会期:2012年6月27日〜9月1日
時間:10:30-17:30、土曜日11:00-14:00(日曜休館)
会場: Beaux Arts London
住所:22 Cork Street, London W1S 3NA
入場無料
TEL:+44 (0) 207 437 5799
info@beauxartslondon.co.uk
http://www.beauxartslondon.co.uk

Text: Michael Sullivan
Translation: Meiko Maruyama

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