カンヌ国際広告祭2012

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

ニューヨークの「The One Show」(ワンショウ)やクリオ賞を含めてよく世界三大広告祭といわれるが、その中でも別格であり、世界で最も権威がある広告祭が、毎年6月にフランスのカンヌにて開催される「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」だ。

Cannes Lions 2012

第59回目の今回は、90カ国より約11,000名が参加し、セミナーやワークショップなど、合わせて100ほどのイベントが催された。今年は、87か国から15カテゴリーに34,301のエントリーがあり、去年の28,828エントリーからさらに増えた。また、2012年の特徴としては、ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門とモバイル部門が新たに設立された。

まずは、フィルム部門のグランプリを紹介しよう。

これは、メキシコ料理のファーストフードチェーンである「CHIPOTLE」(チポレ)が掲げる、サスティナブルな食のあり方の重要性を説いたCMで、制作したのはロサンゼルスのクリエイティブ・アーツ・エージェンシー。温かみのあるアニメーションで表現した、シンプルで分かりやすいメッセージが強く伝わって来る作品だ。音楽はカントリー界の重鎮ウィリー・ネルソンがカバーした、コールドプレイの「ザ・サイエンティスト」。これは、今年新設されたブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門、フィルムクラフト部門も同時グランプリ受賞した。

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日本勢の活躍が目立ったサイバー部門。 残念ながらグランプリは逃したが、プロジェクターによるインテルの「The Museum of Me」、博報堂による「Google Chrome」の「All is not lost」(デザイン部門でもゴールドを受賞)、 電通によるホンダの「Connecting Lifeline」の3つでゴールドを受賞。

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グランプリはナイキの 「NIKE+ FUELBAND」とスウェーデン政府によるソーシャルメディア企画「CURATORS OF SWEDEN」という、2つの対照的な作品が受賞した。ナイキの作品は運動とそのモチベーションをデジタルで上手く繋げ、もう一方は市民にスウェーデンのイメージを1週間ツイートしてもらうことで、ブランドを作り上げるという画期的な試みだ。
この「NIKE+ FUELBAND」は最も斬新な手法を取った広告に送られる、タイタニウム部門でもグランプリを受賞。洗練されたアイディアに多くのアドマンが感嘆の声をあげていた。

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デザイン部門では、日本から5作品がゴールドを受賞した。JR東日本の「行くぜ東北」(電通)、アド・ミュージアム東京の企画展「THE ULTRA ASIAN」(電通)、 海野海藻店の「Design Nori」(I&S BBDO)、Google Chromeの「OK GO-ALL IS NOT LOST」(博報堂)、メニコンの「MAGIC MENICON 1DAY FLAT PACK」(PARTY)だ。

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ダイレクト部門とプロモ&アクティベーション部門、2つの部門でグランプリを取った今年注目の作品は、アメリカンエクスプレスの「SMALL BUSINESS GETS AN OFFICIAL DAY」。小規模ビジネスを助けるために、様々なマーケティングツールを提供したこのキャンペーンは、社会現象にまでなった。その結果、アメリカでは、SMALL BUSINESS SATURDAYが公式の日となり、プロモーションは大成功を収め、そこが評価されて2つのグランプリにつながった。

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ソーシャルメディアの時代にあって、広告業界とSNSの結びつきは今後益々強固で多角的になっていくだろう。それを確信させたのが、全部合わせて100種類ほど開かれたセミナーだ。フェイスブック、ツイッター、YouTube(ユーチューブ)など、今外せないソーシャルネットワーキングサービスもプレゼンテーションを行い、多くの人の注目を集めた。フェイスブックは、同じような志向を持った人のグループに対して効果的なマーケティングができると説き、ユーチューブは音楽業界との友好的な関わりについて説明し、ツイッターは今までは考えもつかなかった人たちが繋がるため、大きな可能性があると訴えた。3つの主要なSNSのセミナーで共通して強調していたのは、効果的なマーケティングとは、エモーション×日常生活が重なるところであり、それはSNSが最適であるということ。それ以外にも、多くのセミナーで、ソーシャルメディアとマーケティングの関わりについて言及された。

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カンヌ広告祭には、歌手やアーティストなどの有名人も参加する。K-POPアイドルの「2NE1」(トゥエニィワン)がオープニングセミナーに登場。建築家のザハ・ハディド、元アメリカ大統領のビル・クリントン、OKGOのボーカル、ダミアン・クーラッシュなどの有名人が、それぞれのプロジェクトや広告・マーケティングについて語った。

デジタルマーケティングの役割と重要性は、今後さらに大きくなっていくだろう。デジタルの進化と変化はとりわけスピードが早い。来年は、全く新しい手法の広告がカンヌを占拠しているかもしれない。

カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル
会期:2012年7月17日〜7月23日(日)
会場:パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ
http://www.canneslions.com

Text: Wakana Kawahito

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