メゾン・エ・オブジェ 2012 春夏

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

インテリアのパリコレ。今年のクリエイターオブザイヤーは吉岡徳仁 

ファッションの総本山がパリコレならば、そのインテリア版は「メゾン・エ・オブジェ(Maison&Objet)」であろう。毎年1月と9月の年に2回、世界中からインテリア・デザインの会社やブランドが一堂に会する見本市で、最新のデザイン事情や今後のトレンドなどを知ることができる。

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Hall 5B. Photo: Anne-Emmanuelle Thion

今回も例年通り、パリのシャルル・ド・ゴール空港近くのパリノール見本市会場にて、1月20日〜24日までの5日間開催された。広大なスペースには、家具、照明、テキスタイル、雑貨を含む、ホームファニッシングに関するすべてのものが集合し、とても1日では見きれないほど。

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Hall 5B by Jean-Philippe Nuel. Photo: Anne-Emmanuelle Thion

各ブランドの展示ブースは、それぞれジャンルごとに9会場に分かれ、およそ8万6000人の来場者があった。また展示ブース以外に、新進気鋭のインテリアデザイナーやアーティストによる展覧会もあり、多くのインテリア・デザイン関係者を刺激していた。

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Carnovsky “RGB”. Designer: Elizabeth Leriche. Photo: Francis Amiand

なかでも特に面白かったのは、「ドリーム・ボックス」という展示。ミラノを拠点に活動しているデザイナーデュオ「CARNOVSKY」による壁紙の作品「RGB」を張った部屋は、赤、青、緑など、まさに色のRGBに沿った光を当てることで、異なる模様が浮き出るというもの。部屋全体を使ったインスタレーションは迫力があり、多くのジャーナリストが注目していた。

同時に展示されていた、ロン・ギラドの鏡を使った作品は、ユーモアとエレガンスを併せ持つ。これまでは、どちらかというとシンプルで繊細なデザインをしてきた彼だが、今回は若干違った方向性を見せた。

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Designer: Elizabeth Leriche. Photo: Francis Amiand

「Everyday object」(日常身の回りにあるもの)をモチーフとしながらも、サイズやちょっとした細工が実際にはあり得ない。そこに知的なユーモラスさを表現しながら、素材や色を派手すぎず地味すぎないようにまとめた、ロン・ギラドならではのセンスが光る。まさに今注目のインテリアデザイナーだ。

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Designer: Tokujin Yoshioka

2012年のクリエイターオブザイヤーの一人に選ばれたのは、インテリアデザイナーの吉岡徳仁氏。展示されていたのは、ショパンの曲の振動で半年かけて作った椅子の作品「ヴィーナス-結晶の椅子」など、2008年に六本木の21_21デザインサイトで開かれていた「セカンドネイチャー」展で展示されていたものがほとんどではあるが、薔薇をクリスタルで彫刻化した作品「Crystallized Rose」など一部未発表のものもあった。家を“デコレーション”することで、個性をだすヨーロッパのホームファニッシングの中で、吉岡氏の展示はとてもシンプルで力強いものに感じた。

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Designer: Fernando & Humberto Campana. Photo: Francis Amiand

他にクリエイターオブザイヤーに選ばれたのは、サンパウロ出身のカンパーナ兄弟。人形や布を使ったアートな椅子で知られている、今もっとも注目されている家具デザイナーだ。廃材を使ったイスなど、エコデザインも得意とする彼らは、段ボールで細胞のような植物のようなオブジェクトを作り、会場全体を使って展示した。その奥には、緑のランプシェードが吊り下げられ、有機的な雰囲気がさらに付け加わった。

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Designer: Stefan Sagmeister / Alfred Loos

他には、ポップ、モダン、シックなどのスタイル別で、トレンドを紹介する展示「art’keting」は多くのインテリア関係者にとって、すぐに使えるアイディアとして参考になったであろう。

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Photo: Francis Amiand

全体的には、サボテンなどエキゾチックな植物や木材とセラミックや鉄など、無機的な素材を組み合わせているブランドがいくつか目についた。ヨーロッパ以外の国も多数参加している、メゾン・エ・オブジェ。その多様性は年々増しており、特にインドや東南アジア、南アメリカの国に勢いを感じた。今後もその数は増加する一方だろう。
次は9月、また新たなトレンドが出てくるのが楽しみだ。

メゾン・エ・オブジェ 2012 春夏
会期:2012年1月20日~24日
会場:パリノール見本市会場
http://www.maison-objet.com

Text: Wakana Kawahito

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