堀尾寛太

PEOPLEText: Memi Mizukami

磁石やモーターなどの力を使いデバイスを作る事で、意図的にあるいは偶然起こった現象を扱い新しい表現を実験的に発表しているアーティスト堀尾寛太が、2006年に発表した「viewKoma」の続編となる「viewKoma2」を発表した。映像をつくる人やインターフェイスデザインをする人間、あるいは音楽をつくる人、様々な人にとって、このワクワクする実験装置を作る堀尾氏の頭の中が気になるだろう。「viewKoma2」発売の話と共に彼自身の話を伺った。

堀尾寛太
Photo: André Gonçalves

まずはじめに自己紹介をお願いします。

堀尾寛太と申します。
自分で作ったいろんな装置を使ってライブをしたり、展示をしたりしています。例えば以下ような作品を作っています。

今回リリースされたDVD「viewKoma2」についていくつかお伺いしたいと思います。リリースに至った経緯を教えて下さい。

今年の初め、NTTインター・コミュニケーションセンター(ICC)で行われた展覧会「みえないちから」に出展していたのですが、関連イベントを何か考えてみないか、という話を頂き、そこで梅田哲也くんに声をかけてライブをすることにしました。このライブは別室にカメラをおいて、出演者(僕と梅田くん、それとゲストの植野隆司さんの3人)はカメラの後ろや横からいろいろやって、その様子を展覧会の会場に置いたモニタに映す、というものでした。
この記録を編集してプレスしたのが「viewKoma2」です。

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Photo: 松尾宇人

「viewKoma2」は2006年の「viewKoma」の続編ということなのでしょうか?

同じアイディアで作っていますので、続編と言えるかもしれません。
ICCでのライブのアイディアは梅田くんから出たものなのですが、その下敷きにあったのが元祖「viewKoma」です。これはスウェーデンの友人宅で行われていた、placardという出演者も観客も全員ヘッドフォンで音をきくというイベントのために、ストリーミングで映像と音を送った際の記録で、ちょうど泊まりに来ていた梅田くんと、僕の家の台所にカメラを置いて、手持ち機材を適当に組み合わせて出し物をやりました。その翌日梅田くんのライブがあったので、その映像をCD-Rに焼いて、ビー玉もつけて、パソコンで見ることもできるし、ビー玉をCD-Rの穴にはめてコマにもなる、というのを10枚限定で売りました。これが元祖「viewKoma」です。

今回はテーマのようなものはあるのですか?

元祖「viewKoma」が撮れたときは、相当画期的なことができた実感があったので、それをもっとやってみる、ということだと思います。

誰かとコラボレーションして作品を制作する際、役割分担はどのようにして行われるのでしょうか?今回を例に教えて頂けますか。またそのような方法をとっている理由をお聞かせください。

梅田くんとの作業では、自然に分担が発生する感じです。お互い、自分の作った物や持ってきた物は自分が担当になるし、自分に地理的に近い物も担当になる。コラボレーションについては自分でもまだよく分かっていなくて、全然合わない人とやる共同作業も何か意味があるのかもしれませんが、作業としては純粋につらいし、価値が見いだせない。今のところは、目的をかなり共有できる人とでないと難しいです。

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磁力など現象への興味を持ち始めたのはいつ頃からでしょうか?

小さい頃からではないでしょうか。

物の動きは全て計算された動きを扱っているのですか?それとも偶然起った動きを使うこともあるのですか?

もちろん偶然起こった動きも使っています。というよりも物理的なものを使っている時点ですべて計算は不可能だし、たとえばある偶然起こる動きを狙って計算したりとかいうこともあるし、というわけでその違いはあまり意識していません。

大学時代は音響設計系専攻ということですが、どのような作品を作っていたのですか?

元々はコンピューター音楽のインターフェイスの研究をしていました。これはモデル化すると、鍵盤などの入力装置と、音源、あとスピーカーなどの発音体の組み合わせということになるのですが、この組み合わせの指針として典型的なのは、人(演奏者)のジェスチャーを元に豊かな音楽表現力を、というものなのだけど、これを前提としてしまうと、どうにも古典的なものしかでてこなくておもしろくない。そこで入力は勝手に発生する物理現象とか、音源と発音体の一致とか、いろんなことを試すうちに今のような作品になっていきました。

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Photo: 羽田野美穂

電気好きの集い「ドークボットトーキョー」とは、どのようなことを行っているのですか?また、そこから作品に発展することもありますか?

ドークボットは、もともとニューヨーク発祥の世界チェーンのイベントで、電気で変なことをやっている人を集めた集いを世界のいろんな都市でそれぞれやっているのですが、それの東京版です。2005年から城一裕さん、exonemoと一緒に企画してやっていました。できるだけいろんな分野の方に来てもらって、プレゼンやライブ、お店などをしてもらいました。過去の記録はこちらにあります。

最後は2009年にやったきりになっています。個人的には、当時感じていた分野同士の壁も、いまこのイベントをやるおもしろさも減った気がしていて、もし次何かやるなら違うフォーマットでやると思います。

作品へ発展ということはなかったです。

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Photo: 松尾宇人

作品を通じて、何を感じて欲しいと思いますか?

どうでしょうか。自分のやっていることが、自分の意図した部分のみで評価されるということばかり、とも限りませんし、こちらから要望としてはありません。

今後の活動予定をお聞かせ下さい。またなにか扱ってみたい素材や現象はありますか?

7月28日にソウルでライブをやります。ジェイミー・アレンくんやリュウ・ハンキルくん、ホン・チュルキさんなどが出ます。また11月に神戸で梅田くんの展示に参加する予定です。
これから扱ってみたいものはいろいろとあるのですが、いま現象として注目しているのは静電気と、位置エネルギーです。

viewKoma2
演奏:堀尾寛太 + 梅田哲也
ゲスト:植野隆司(テニスコーツ)
オーディオ・コメンタリ:畠中実 + クワクボリョウタ
スチル撮影:松尾宇人
収録:NTTインター・コミュニケーションセンター [ICC] 「みえないちから」展関連イベントにて
DVD-video / NTSC / リージョンフリー
収録時間:34分
自主制作盤
価格:1,300円(税込)
取り扱い:円盤(東京)、ICC(東京)、 Improvised Music from Japan(通販)他
http://kanta.but.jp/viewKoma2/

Text: Memi Mizukami

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