プリマベーラ・クラブ 10

HAPPENINGText: Julio Cesar Palacio from Panopttic

Primavera Club 10
Callers

今年のプリマベーラ・クラブ・フェスティバルの開始一週間程前に、ちょうどそのイベントについてリサーチをしていて、街での音楽について書かれたたくさんのブログを発見した。

少し気になったことは、多くの音楽ブログは音楽自身についてあまり興味がないようにみえること。つまり、プリマベーラ・クラブとは、プリマベーラ・サウンドの縮小版でより実験的なイベントであるということを皆が知っていて、多くのブロガーはプリマベーラ・サウンドと同じようなラインナップをプリマベーラ・クラブに期待しているということだ。個人的な見解としては、人気バンドをまた連れてきても退屈だろうなと思うのだ。それは、ブロガーがいかにそのバンドを好きでも、彼らのバイブルでもある音楽ポータルサイトのピッチフォーク・メディアが絶賛していたとしてもだ。

1つの大きなパワーを持ったピッチフォークのようなウェブサイトを元に(彼等は素晴らしい見解を持っているとは思うが) 、音楽を批評する人たちが各々の”好き”を決定するのは、あまりに怠けたことだと思う。バルセロナでは沢山のことがローカルシーンで起こっており、小さい規模の方であるプリマベーラ・クラブが、彼等の活動を応援するということはとても賢く、正しいことだと感じた。

例えばローカルで面白いレーベルのオゾノキッズは、10年程精力的にプロモーションやイベント行い、ローカルなものであったりインターナショナルなものであったり、あらゆる世界中の音楽好きのためのイベントのオーガナイズをしている。もちろんプリマベーラ・クラブに参加するアーティスト達はスーパーセラーではないし、有名でもない。だけど、音楽なので、まずは聴くことから始めなくちゃと思う。

僕がこれをどうして言うかというと、フェスティバル側が選んだアーティストについて、多くの人がブログ上で批判をするからだ。しかし、来年のプリマベーラ・サウンドに参加するアーティストについては、フェスティバル側は少ししか発表しなかったので、いわゆる“音楽評論家たち”には、あまり失望する時間がないのではないだろうか。

発表されたのは、パルプスーサイドコメットゲインアニマル・コレクティブや他にも少しと、大御所で人々を魅了しているアーティストなどだ。おそらく、後から追加される参加者で反撃してくれることと思う。

ここで言いたいことは、大規模なフェスティバルが、音楽のローカルシーンや実験的な試みをサポートしているということ。この冬バージョンのフェスでは、もっと地元の人々に注目している。というのも、ヨーロッパ中からプリマベーラを楽しみくる人たちは、夏のイベントのプリマベーラ・サウンドの方に集中するからだ。

Primavera Club 10
Frankie Rose

では、今年のイベントについてレポートしよう。
初日は2組のファンタスティックなライブから始まった。繊細で幻想的でポップなワイルドナッシングのライブが行われ、次のフランキーローズ&ザ・オーツによるガーズルバンドは、ちょっぴりサーフとロカビリーのエッセンスのある、ガレージとシューゲイザーをミックスしたバンド。とても情熱的で、40分のライブが15分に感じられたほど。ファンタスティック!

Primavera Club 10
Wild Nothing

2日目のプランを立てていたところ、見たいと思うライブを全て見ることは不可能だと気付いた。なぜなら、今回のプリマベーラ・クラブは、街にあるいくつかの会場で分けて開催していて、会場を行き来するのが困難だからだ。

Primavera Club 10
Josephine Foster & The Victor Herrero Band

そこでまず、Casino L’Aliança del Poblenouへ行くことにした。ここでは、ジョセフィーヌ・フォスターザ・ヴィクター・エレーロ・バンドと共に、奇妙だけどやわらかなコラボレーションを披露。ジョセフィーヌの歌声はユニークで、アンダルシアの伝統的な歌と良くあっていた。

Primavera Club 10
Edwin Collins with his son

その後、この会場は、大御所シンガーであるエドウィン・コリンズを観に来た観客で混雑した。他の素敵なバンドも加わり、レパートリーの中からいくつかライブをして、彼の息子も参加しステージで歌って踊った。とても感動的なライブとなり大喝采が起こった。

Primavera Club 10
Smoke Fairies

スモーク・フェアリーズを観る為にアポロへ移動。そのバンドの名前から、彼らの音楽の雰囲気が伝わってきた。自然な感じのボーカルの声とフォークをミックスした音楽を奏でていた。

Primavera Club 10
Yuck

フェスティバルを飾る宝石たちが輝き始める時間となった。イギリスから来た若手バンドのヤックのライブは、その日の大きなサプライズとなった。彼らは大物バンドのヨ・ラ・テンゴとのツアーを終えて来ており、カルトバンドとなるステップを徐々に踏んでいるようだ。

Primavera Club 10
Teenage Fanclub

アポロ会場では、ベテランバンドであることを見せつけたティーンエイジ・ファンクラブのライブで始まった。衰えを見せない演奏で彼らはヒット曲の一握りを演奏し、ファンからの膨大な量の期待を裏切らなかった。新しい時代のバンド達が、インディーズの世界を本当に面白くしていくだろうと確信した一日となった。

Primavera Club 10
S.C.U.M

ロンドンをベースに活動しているバンドのS.C.U.Mは、その素晴らしいライブで彼らのノイジーなローファイポストパンクを見せつけた。ザ・ホラーズザ・エックス・ エックスなど、似通ったイメージを持っているバンドと比べられがちだが、S.C.U.Mの方がよりフレッシュに見えるし、ライブもパワフルだ。

Primavera Club 10
Small Black

ブルックリンから来たスモールブラックは素敵でポップなライブをして観客を魅了し、最終的には踊ってしまう程幸せな空間を作り上げた。ライブの間、会場は混雑していて、最後には観客をステージに招待してパーティーになるほど盛り上がっていた。

Primavera Club 10
Male Bonding

サブ・ポップレーベルの若手イギリス人グランジ・ガレージバンドと言えば、メールボンディング。エレクトリックで激しく、そして楽しいという、丁度私たちが期待して欲していたバンドで、それが次のバンドに求めていたものだった。

さて、このステージについて本当になんと言ったら良いかわからないが、元ジェイ・リータードのメンバーによるサポートのもとカリフォルニアのバンドとネイサン・ウィリアムズがライブを行った。ライブは、クラウドサーフやステージからのジャンプなどで始まり、最前列でいつものごとく写真を撮っていた僕は、人がステージに登るのを助けるなど盛り上がっていくのが最高に面白かった。このバンド自体はそんなに特別なものではなかったものの、このショーに参加した人々が素晴らしかった。金曜日は、多くの情熱がビッグバンドや若い才能から溢れていて、素晴らしい一日となった。

Primavera Club 10
Ganglians

土曜日は早い時間から会場MOOGにて、カリフォルニアのロック・サーファー・スタイルの バンド、ギャングリアンズのライブからスタートした。彼らは数々の素晴らしいバンドが所属しているレーベルウッドシストのバンドで、素晴らしいライブだった。

Primavera Club 10
Zola Jesus

しばらくしてアポロでは、力強く魔法の様な歌声のゾラ・ジーザスのステージが始まった。本名をニカ・ダニロワというその若手ミュージシャンは、何もないステージに少なめの照明で、キーボードの男性が参加するステージを披露。ステージの上のゾラは存在感があり、歌い、叫びながらステージを飛び降りて人々に囲まれていた。フェスティバルの中で一番素晴らしいパフォーマンスだった。

Primavera Club 10
The Hundred in The Hands

そして、ザ・ハンドレッド・イン・ザ・ハンズ。彼らがダンスヒットナンバーをステージで披露するとまるでオアシスのようだった。

Primavera Club 10
Rubik

この日の夜の目玉となったのは、フィンランドのヘルシンキから来たルービック。世界で最も寒い場所の1つであるその土地から来たこのバンドは、まるでラテンアメリカから来たバンドの様に見えた。バンドと観客の関係は純粋で、情熱的で喜びに満ちあふれていた。彼らはまるで最後のライブであるかのように感情的に、彼らの持つすべてを出し切っていた。観客はかなり感動していた様子。

感情と発見を伴った、沢山の音楽とパフォーマンスのある普段とは違う素晴らしい週末だった。これがプリマベーラ・クラブであり、来年も続くことを願っている。
今の時点で決まっている次のプリマベーラ・サウンドに参加するアーティストを夢みながらゆっくりとした時間を過ごすとしよう。参加予定は、アニマル・コレクティブアリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティベル&セバスチャンブランクドッグスブロードキャストコメットゲインDan Melchior und Das Menaceファイアリー・ファーネイシズザ・フレーミング・リップスフリート・フォクシーズハーフ・ジャパニーズジョン・ケイル&バンド+オーケストラ、マーキュリー・レヴモグワイザ・ナショナルパパス・フリータスパルプソニー&ザ・サンセッツスーサイドスワンズTriángulo De Amor Bizarro。これまでにない驚きのラインナップだが、これはまだ序章に過ぎない。
では、来年のプリマベーラで会いましょう!

San Miguel Primavera Club 10
会期:2010年11月24日〜28日
会場:Sala Apolo & La[2]
http://www.primaverasound.com

Text: Julio Cesar Palacio from Panopttic
Translation: Memi Mizukami
Photos: Julio Cesar Palacio from Panopttic

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