文化庁メディア芸術祭巡回企画展 札幌展

HAPPENINGText: Mariko Takei

札幌で初めて開催する大規模メディアアート展として「文化庁メディア芸術祭巡回企画展 札幌展」(以下札幌展)が10月23日から11月3日まで札幌芸術の森センターにて開催された。

文化庁メディア芸術祭巡回企画展 札幌展

今年の巡回企画展は、第13回文化庁メディア芸術祭の受賞作品映像を上映するとともに、過去の受賞者もしくは審査委員会からの推薦を受けた作品の作者に焦点を当てた展示を行うというもので、札幌展では、「メディア芸術創造都市さっぽろ」を目指すことをテーマに、メディア芸術の北海道での普及とその可能性を探るべく、北海道ゆかりのアーティストの作品を含む8組の受賞作品の展示が行われた。

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SHIMURABROS.「SEKILALA」

第13回文化庁メディア芸術祭の受賞作品からは、エンタテインメント部門大賞を受賞し、シフトでは昨年のDOTMOV FESTIVALで選出されたことでお馴染みの、ナカムラマギコ+中村将良+川村真司+Hal KARKLANDによるミュージックビデオ「日々の音色」と、アート部門優秀賞を受賞したSHIMURABROS.によるマルチ映像作品「SEKILALA」が上映された他、アート部門に入選した、渡邊英徳によるインターネットアート&デジタルアーカイブ作品「ナガサキアーカイブ」の展示も行われた。

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水口哲也「make.it.believe」

また、過去の受賞作の中から、北海道ゆかりのメディアアーティスト2組の出展もあった。第5回デジタルアート部門大賞を受賞した、北海道大学理学部卒業の児玉幸子+竹野美奈子の磁性流体という素材を使った作品「モルフォタワー」と、第6回特別賞を受賞した、小樽出身の水口哲也によるコンピュータゲーム「Rez」の最新バージョン「Rez HD」の展示だ。フル3DCGテクノバンド「元気ロケッツ」のプロデュースも手掛ける水口氏の新作3Dミュージックビデオ「make.it.believe」も上映。この作品については、最終日のシンポジウムでそのプロジェクトについて語るプレゼンテーションも行われた。

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クワクボリョウタ「Vomober」

会場で実際に体験して楽しめることで、人気を集めていたのが、第7回アート部門大賞を受賞したクワクボリョウタの「デジタルガジェット」と呼ばれる作品シリーズから、電話での通話に応じてデジタルな顔の表情の変化を楽しめるインタラクティブアート作品「Vomober」と、ボールをやりとりすると様々な音が広がるAR(複合現実)アート作品「ヘブンシード」。また、バスキュールによる携帯電話とインタ−ネットを繋ぎ釣り体験ができるソーシャルゲーム「ぎょろる」(第12回エンタテインメント部門奨励賞)も、多くの人が自分の持っている携帯電話を使って作品を楽しんでいた。

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渡邊英徳「つながりの中のネットアート」プレゼンテーション風景

会期中には、会場および札幌市内で、様々な関連イベントが行われた。札幌展始まってすぐの週末には、クワクボリョウタによる子供向けワークショップを開催。他に、「つながりの中のネットアート」というテーマのもと行われたスペシャルパネルディスカッションでは、渡邊英徳が参加する他、「日々の音色」のナカムラマギコと中村将良がWho-Fuとしてニューヨークから来日し、ウェブカメラを使って制作した工程を展開した。

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「メディアアートの未来へ」シンポジウム風景

最終日には、「メディアアートの未来へ」と題したクロージングイベントを開催。特別シンポジウムとアニメーション映画の上映が一日を通して行われ、シンポジウムでは道内外のクリエイティブな分野で活躍するゲストパネラーにより様々な角度から「メディア芸術創造都市さっぽろ」の発展と可能性についてのトークがおこなわれ、12日間開催された札幌展の幕を閉じた。

今後の札幌で、メディアアートやアートが文化として根付いていくために残っている課題はまだ多いだろう。今回の札幌展を通じて札幌の人々がメディアアートに間近で触れ、体験できる場所を示すことができたが、今後は更に一歩踏み出し、北海道のアーティストと共に成長できる「メディア芸術創造都市さっぽろ」の発展を促す試みに期待したい。

文化庁メディア芸術祭巡回企画展 札幌展
会期: 2010年10月23日 (土)〜 11月3日 (水・祝)
会場: 札幌芸術の森センター
住所:札幌市南区芸術の森2丁目
TEL:011-591-0090 (札幌芸術の森)
http://www.smf.vc/maf-sapporo/

Text: Mariko Takei

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