中谷芙二子+高谷史郎「CLOUD FOREST」

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

中谷芙二子と高谷史郎が挑む、アートとしての環境圏 

01_MG_1847.jpg
中谷芙二子+高谷史郎「CLOUD FOREST – Patio A, Patio B」

まるで、屏風画のように対になり、左右に配置されている。
というのは、中谷芙二子の「霧の彫刻」と高谷史郎による光とサウンドが融合した、「CLOUD FOREST Patio A」と「CLOUD FOREST Patio B」である。これらを含めた、山口情報芸術センター(以下、YCAM)館内外の大きな空間で展開されている4つのインスタレーションは、今回の展覧会のために作家が滞在して制作したオリジナルの作品だ。

06_MG_2526.jpg
中谷芙二子+高谷史郎「CLOUD FOREST – Fog Installation #47784」

「CLOUD FOREST」は、「環境」がテーマとなっている。ここで言う環境とは、自然環境の意だけではなく、社会環境、精神環境、情報環境をも含んだ広義の意味を指す。装置によって作り出される人工の霧、太陽光、音響が組合わさることで、自然環境と人工環境の対話とその狭間に存在するものを表現している。

02_MG_0678.jpg
中谷芙二子+高谷史郎「CLOUD FOREST – Patio A, Patio B」

ガラスで囲まれ、外から光や雨が入り込む、長方形の吹き抜け構造の中庭に「CLOUD FOREST Patio A」と「CLOUD FOREST Patio B」はある。その空間では、霧、光、音の3要素がその時の天候や館内の環境に影響されながら、その瞬間しかない多様な様子を作り出す。そして、AとBでは、霧の放出の位置やタイミング、光の射し方が異なるため、それぞれが常にまったく違った表情をみせる。

ある時は、目の前の視界が急に白くなって隣の人の姿がまったく見えず、一人霧の中に迷い込んでしまったかのようになり、ある時は、霧の中に数筋の光が差し込み、それが反射することで幻想的な情景が広がる。そして、ある時は、上半分は霧がまったくないクリアな状態で、下には霧が溜まっているという水墨画のような様子になる。

04_MG_1918.jpg
中谷芙二子+高谷史郎「CLOUD FOREST – Foyer」

ホワイエで展示されている「CLOUD FOREST – Foyer」は、人が立っている位置と距離に反応して、流れる音のスピード、方向や内容が変わる超指向性スピーカーを用いたサウンドシステムを、等間隔に設置した作品。ディヴィッド・チュードアの環境の反応によるサウンドスケープの発想からインスピレーションを受け、9台の音響装置と鏡のようになった床面が、反響、反射して、音と光の複雑なコンビネーションを生み出している。山口をはじめとするさまざまな場所で収録されたフィールド音と館内の別の場所からのリアルタイムのノイズ音を音源として用いることで、自然環境と人工環境をミックスした。そこでは、普段は意識していない音の重なりや音と音の空間を感じることができる。さらに、その場所に長くいると、今まで聞こえてこなかった音が徐々に聞こえてきて、まるで音の森にいるような感覚になっていく。

05_MG_1785.jpg
中谷芙二子+高谷史郎「CLOUD FOREST– Fog Installation #47784」

YCAM正面の中央公園の広大なスペースで展開されている「CLOUD FOREST – Fog Installation #47784」は、中谷芙二子の「霧の彫刻」に、高谷史郎による構造設計が加わり、中庭の作品とはまた異なったスケールで、風力や風向の変化に合わせて、霧の放出方向や量などが調整される。つまり、偶発的な要素を取り込み、環境と融合しながら、常にダイナミックに変化していくことで新しい表現を作り出しているのだ。そこでは、見慣れた公園の風景が、一瞬にして別の様相を呈し、目の前に存在する情景や町並みでさえも、作品の一部となる。

霧、光、音、水滴、風によって、視覚、聴覚、触覚、嗅覚が刺激され、普段意識していない感覚や不可視な世界へのアプローチが可能となる。
「CLOUD FOREST」を実際に体験することで、アートと情報と環境の新しい関係性について感じて欲しい。

中谷芙二子+高谷史郎新作インスタレーション「CLOUD FOREST」
会期:2010年8月7日(土)〜10月17日(日)
時間:10:00〜19:00(中央公園 17:00まで)
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)
会場:山口情報芸術センター[YCAM]、スタジオB / ホワイエ / 中庭 / 中央公園ほか
料金:入場無料
http://www.ycam.jp

Text: Wakana Kawahito
Photos: Ryuichi Maruo (YCAM), Courtesy by Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
クォン・オサン
MoMA STORE