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ポリクセニ・パパペトルー

PEOPLEText: Mariko Takei

オーストラリア・メルボルンを拠点に、子ども達がもつ魔法のような力に魅了され写真作品を手掛けているポリクセニ・パパペトルー。新作「ビトウィーン・ワールズ」(Between Worlds)では動物のマスクをかぶった子ども達による、いくつもの曖昧な世界が切り取られた写真空間の中で繰り広げられている。6月にパリのLM Dギャラリーでの展示を終えたパパペトルーに写真について、子どもについて、メルボルンについてなど話を伺った。

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まず、自己紹介をお願いします。

ポリクセニ・パパペトルー。ギリシャ人の両親のもと、メルボルンで生まれ育ちました。写真作品を手掛けるようになって12年ほど経ちますが、2002年から子供時代のストーリーを展開する写真を撮るようになりました。子供の写真を撮るようになったのは、私たちの文化というものに対する考えを表現したかったからで、そのアイディアは子供らしさの象徴を通じて一番良く表現されると思ったからです。でも、もっと重要だったことは、子供の世界に魅了されたということです。
作品によく登場する主人公は私の二人の子供達、オリンピア(1997年生まれ)とソロモン(1999年生まれ)です。

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© Polixeni Papapetrou “The Prayers” (Between Worlds) 2009

写真家として活動するようになった経緯を教えて下さい。

子供の頃は、特に絵が上手だったわけでもなく、美術の授業の時などは才能がないなと感じていたので、他のことに興味を持つのは自然の流れでした。高校を卒業後は、メルボルン大学で法律を学び、2000年まで弁護士として働いていました。でも、大学で法律を勉強していた時に、アートや写真の世界を紹介してくれたアーティストに出会ったことで、ただ見るだけではなく、自らが写真を手掛けてみたいと思うようになりました。弁護士として働きながら、1993年からメルボルンにあるRMIT大学の定時制で写真を勉強することにしたのです。2000年になると、弁護士を辞めアーティストとして活動するようになりました。2007年には、メルボルンにあるモナッシュ大学で美術学の博士号を修得しました。

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© Polixeni Papapetrou “The Harvesters” (Between Worlds) 2009

新作シリーズ「ビトウィーン・ワールズ」についてご紹介下さい。

ビトウィーン・ワールズの制作では、マスク、仮装、物語、歴史的なアート作品、風景など自分の大好きなものを使用してみました。ビトウィーン・ワールズは、風景の中に動物として登場する子供達を撮影したものです。このアイディアを実現するために、子供達は動物のヘッドマスクを被っています。動物として登場する子供の写真を撮ったのにはいくつも理由がありますが、主な理由は子供が占有する「空間の間」というアイディアをあらわしたかったからです。私は、子供達が幼年期と成人期の間の世界という、2つの空間の間に存在するとみています。不条理的な感じですが、子供を動物として表現したのは、それぞれの世界に類似点を感じるからです。動物はミステリアスな方法で私たちの意識に潜入してきますし、私たちは、自分たち自身や感情的な部分を理解するために動物を見ます。哲学の歴史のほとんどにおいて、動物と共有しないものが自分たちを人間として定義しています。それと同様で、子供は大人を定義づける「他方」であり、よって、子供が、時に愛らしく、時に脅迫的に、私たちの意識を広げていると言えるのです。

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