TARO HORIUCHI

PEOPLEText: Monika Mogi, Brian Weiland

日本のデザイナーとしてあなたが、この業界に今起こっていることを象徴していると思いますか?

そう思います。日本には近年本当に優れたデザイナーが生まれていませんが、それが変わってくることを望んでいます。

ジュエリーについて、お聞かせ下さい。

ジュエリーは、「パーソナル ラグジュアリー (Personal Luxury)」をコンセプトに昨シーズンから始めました。ジュエリーの多くは、ルビーやダイヤモンドなど希少価値のある石を使っているため、はじめから宝石としての価値を持っています。私は、“ラグジュアリー”のもっと違った側面を見つけたいと思いました。幼い時は皆、何か好きなものがあっても、なぜそれを好きなのか理由は分かりません。でもそういう感覚がその人にとっての「Personal Luxury」なのだと思います。私はそのことに立ち返りました。そこで荒川に行って河原の石を選んできたのです。川の小石は何千年もの時間をかけて、水の力で形を変えるものです。だからひとつひとつ違った形をしています。また、どの石を選ぶかは十人十色ですし、人の個性をはっきり示すので見ていて面白いです。

49ef72b19c9b2addea8db508ca9b00b72-1024x682.jpg
Taro Horiuchi A/W 2010 collection – “Void” © Taro Horiuchi

ネックレスは、石に穴を開けて作っているのですか?

いいえ、石は簡単に割れてしまうので、とても特別な技術を使っています。日本でこれができる人はあまりいません。私は探して、ある男性を見つけました。彼は大学で石について教えており、趣味としてジュエリーを制作していました。彼がこの技術を身につけたのです。

041c8e89b678b46731ac2144bc87c2e7-1024x682.jpg
Taro Horiuchi A/W 2010 collection – “Void” © Taro Horiuchi

あなたが使っている、変わった形の真珠について教えて下さい。

これも「パーソナル ラグジュアリー」と同じアイディアです。真珠は、とてもなめらかで丸くあるべきとされており、それが真珠の値段を決める要素です。しかし真珠をよく見ると、正しい形でないものも沢山あります。私はそうしたものの方がむしろ面白いと思ったのです。

堀内太郎は確実に素晴らしい何かを成し遂げた。ファッションについて十分な知識がない私たちでも、TARO HORIUCHIの今回のコレクションからはその素晴らしさが見て取れる。個人的にわかったことは、堀内氏は、単なるファッションデザイナーではなく、ビジュアルアーティストでもあるということ。風景写真がプリントされたグラスオーガンジーの作品から、密かに動物や幾何学模様のある裏地まで、彼の作品は、ストリートに出て着用するよりも壁に飾ってみたいと思えるものばかりなのだ。

TARO HORIUCHI
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-13-21 LUCERIA #OD
TEL:03-6804-8372
https://www.tarohoriuchi.com

Text: Monika Mogi, Brian Weiland
Translation: Shiori Saito

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE