六本木アートナイト 2010
HAPPENINGText: Kayo Tamura
3月27日から28日にかけて、六本木の街を舞台にした一夜限りのアートイベント「六本木アートナイト 2010」が開催された。
六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館などの、六本木を代表する複合商業施設や美術館から、六本木商店街と六本木地区の協力施設や公共スペースまで、至る所で六本木の町がアート、デザイン、音楽、映像、演劇、舞踏など多様な作品と融合し、非日常的な空間を作り出した。今回の六本木アートナイトは、「街の見る夢」をテーマとし、コアタイムの日没から日の出までの時間は、美術館やギャラリー、飲食店など多数の施設がオールナイト営業を行った。
六本木の街が一夜にしてアートの祭典となった。グラフィックやサインなども目を引いた。スタッフも街に立ってパンフレットを配っており、積極的にイベントが盛り上げられていた。
イベントの数も一晩では見切れないほどあり、時間によっては重なってしまうので、事前に行きたいところと場所を把握しておく必要がある。もちろんその場で行って楽しむこともできるが、イベントによっては人数制限や、並ぶ必要があったりするため、見逃さないようにするためだ。
鈴木ヒラク×Shing02のパフォーマンスも大盛況だった。森美術館内で23時からスタートしたのだが、30分前にはすでに行列ができており、始まる頃には、満員状態となっていた。最初にShing02のライブが始まり、それの音にあわせて鈴木ヒラクのライブペイントが始まった。
床に敷いてある4メートル以上ある紙に、無心になって描いてる様子が見られた音とライブペイントに一体感が生まれ、とてもすばらしいライブペイントが行われた。
描き終わったあとは、すぐに丸めてしまったため完成した作品は一瞬しか見ることが出来なかったが、それも演出なのか、ライブペイントというその空間がとてもよく演出されていて、見ている人たちも真剣に見ていた。
そのほかにも、六本木ヒルズアリーナでは、去年はヤノベケンジによる機械彫刻「ジャイアント・トらやん」が出現したが、今年は椿昇による、体長13mの巨大な作品「ビフォア・フラワー」が出現。トークやパフォーマンスなどが、1時間ごとにあり、盛り上がりをみせていた。
六本木ヒルズの中では、音や光、映像をつかったインスタレーションを体験することができた。市川武史による「オーロラ’10 Roppongi」は外側からだけではなく、内側から見ることもできるインスタレーション。
モニターを通じて遊ぶことができるインタラクティブアートは、浅野耕平による「六本木の猫道」だ。
韓国のアーティスト、チェ・ジョンファの「ロータス」は毛利庭園の池に大きな花をさかせ、桜とともに夜の六本木を華やかに飾った。
森美術館は24時〜翌朝6時までの時間帯に限り入館料500円となり人で溢れていた。夜中にもかかわらず、近くのカフェや町も大勢の人で賑わい、活気溢れる印象だった。
一日限り、しかも深夜という条件でこれだけ人があつまるのは、六本木という街独特の特性なのかもしれない。ただ単にアートのイベントという括りではなく、街全体が活性されている印象を持った。今回は主に六本木ヒルズを中心としたレポートになったが、21_21 DESIGN SIGHTや東京ミッドタウンも、六本木ヒルズに劣らず盛り上がりを見せていた。各都市を結ぶ無料シャトルバスや、駐車場のサービスなど、来場者にもうれしいサービスがあり、これからどんどん進化していくだろうと感じた。早くも来年もさらに進化したアートナイトが楽しみだ。
六本木アートナイト 2010
会期:2010年3月27日(土)・ 28日(日)
会場:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
入場料:無料(但し、一部の美術館企画展およびプログラムは有料)
http://www.roppongiartnight.com
Text: Kayo Tamura
Photos: Kayo Tamura