カガリユウスケ

PEOPLEText: mina

カバンとは、とても個人的な「持ち歩く空間」である。そんな観点から、携帯する空間の再構築とその空間を構成する壁としてのカバンの質感にこだわったカバン作家がいる。ギャラリー「p2g」の運営者でもあるカガリユウスケ。彼の考えるカバンとは? そのこだわりとは?

カガリユウスケ
Photo: Osamu Kurihara

まずはじめに自己紹介をお願いします。

カガリユウスケ。大阪生まれ、25歳、男です(笑)。カバン作家やってます。2005年の終わり頃に兄からの『一緒に住めへん?』というわかりやすい誘いの電話で上京して、本格的にカバン作家として活動を始めました。それ以前も趣味程度にはつくっていて、大阪のセレクトショップで売ったりはしてたのですが。僕、もともとファッションの専門学校でスタイリスト科だったのですが、うちの父親が和紙のアーティストをしていた影響でものづくりとは近い環境にあったのです。服ってすごくパターン的に制約があって、規制が多いのですよ。靴もけっこう規制多いな、帽子も被れへんしなって思って。自分でカバン欲しいし、カバンつくろう!って。それで、ものをつくって生きていこうと思いました。

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それで、どういうデザインコンセプトでやっていこうと思われたのですか?カバンの制作、デザインは独学ですか?

独学ですね。出身の大阪デザイナー専門学校は、どちらかというと写真系が強くて、ビジュアルアーツという森山大道さんとかが出られた学校の姉妹校なのです。だからカタログとかは自分で写真を撮ってるのですが、写真に対するこだわりはそこの学校を出たからっていうのはあるかもしれません。当時面白い素材を探していたら、仲良くなった問屋のおじさんが『白い不織布、大量に余ってるよ』と教えてくれて、キッチンペーパーみたいで可愛いかったんですよ。それで紙で1年半ぐらいつくり続けた後に革を触るようになって、つくっていくうちにカバンっていうモノ自体に興味が移ってきました。カバンとか靴って、独特じゃないですか。ファッションアイテムだけど、微妙にファッションじゃないし。そういうどっちつかずの感じのカバンが楽しくなってきて、カバン自体をテーマに作り始めました。

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カガリさんのカバンの特徴について教えてください。

カバンの中身って人それぞれ違うじゃないですか。自分の部屋みたいで。なんか個人的な、子供部屋みたいな部屋なんだなって発想から、パテを塗って外壁みたいに仕上げるっていうのを思いついたのです。パテの質感が好きなのですよ。ボコボコした感じとかミシン目が隠せるし、すごく応用が効いて。自分で色づけしたり、汚したり、色調合してちょこちょこやったりとか。どんどん試行錯誤してるような感じです。

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