
「BOTANIKA」(ボタニカ)、「TAISHI NOBUKUNI」(タイシノブクニ)を展開する、デザイナー信國太志。さまざまなメディアに見る彼のインタビューは、テーラリングのクオリティの高さとともに、デザイナーとしての圧倒的な存在感から引き込まれる者も多い。チャーリー・アレンのもとで、英国伝統のビスポークテーラーを学び、ジョン・ガリアーノのもとで修行したそのテーラリングの技法は、伝統的な手法を大切にしながらも、独自に解釈しアレンジするバランス感覚に長けている。業界でも注目を集めるデザイナー信國太志に、2010春夏コレクション展示会場でお会いすることができた。
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個人的な嗜好を突き詰めた「タイシノブクニ」から、多くの人が感じられる“気持ちよさ”を表現した「ボタニカ」が誕生したわけですが、信國さんの“ファッションへの視点の変化”についてお聞かせください。
ある時期からヨガやサーフィン、菜食に仏教のプラクティスといったこととの出会いが連続して起こり、生活と価値観が変わりました。物事の前景やディテールより背景全体が気になるといった感じで、個人の志向を超えたものに興味が移行したのが「ボタニカ」を始めた理由です。簡単にいうと、大人になったということですね。
意識は頭で感じる、事物の相違点による認識の積み上げによる概念的な理解と、ハートで感じる一体性を基調とした共感的、直感認識とがあります。僕が出会ってきた一連のライフスタイルとは、後者の直感と共感力を磨くというか、取り戻すことに繋がることです。そのような変化を通じ、言葉を超えた認識で樹木と語らうような経験をしました。
これまで、オーガニックコットンでの染色は色出しが難しいとされてきました。「ボタニカ」のオリジナルの染色については、どんな取り組みがなされていますか?
染色で有毒性を問われるのは、実は染料よりも“媒染”といわれるつなぎというか媒介なのです。
天然染色を安定させるために、金属成分が高い媒染を使うという本末転倒を避けるべく、染料は“反応染料”という人口的なものを使用しています。これはナチュラル=無害という誤解の典型で、化学肥料による綿で作られたエコバッグみたいな話です。プリント等においては、媒染にたまごの殻を使用したり、イカ墨を用いたり様々な試みをしています。今後やってみたいのは漂白剤を使わないブリーチ等です。
ご自身の根幹にある、テーラリングに惹かれたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?
襟のラペルを見るだけでどきどきしたりします。自分の何かに刻まれた、深い何かとしか言いようがないです。立体的なフォルムが服の要素のうち最も惹かれるのですが、男性においてそれを表現する完成された一つのフォーマットと言えるでしょう。余談ですが、故・加藤和彦さんのスーツの着こなしは、信頼のおける一人のテーラーとの長年の関係により作る人が着る人を嗜好から体型まで熟知し、ますます知るということから生まれる。本当に似合う服の素晴らしさと、そこで磨かれたご本人のセンスとともに素晴らしかった。
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05-06 A/W TAISHI NOBUKUNI
着こなしについて、何かアドバイスをいただけますか?
着こなしとは、テクニックではなく自分らしくあることなので、人それぞれだと思います。今は全てが着崩された時代なので、若い人ほどストリートなスタイルにどこかドレスアップする楽しみがあってもいいかもしれません。
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06-07 A/W TAISHI NOBUKUNI
信國さんがデザインされる衣服には、そのデザインコンセプトから明確な意思や思想のようなものを感じます。信國さんは「衣服とは魂を包むもの」と何かのメディアでもお話されていましたが、ライフスタイルの中で「着る」という行為をご自身はどのように受け止めてらっしゃいますか?
異性にもてたいか、自分で満足するかの二通りのうちの後者です。そして、そこにはアイデンティティーを表現する記号性があり、例えばショーツの丈。膝上短めだとアメカジ、膝下だとBボーイ、スケーターといったように、着こなしはその人のアイデンティティーを表します。人間はいつも心の鏡で自分をチェックし、そこから自意識が形成されます。自然に優しい衣服を着ると優しくなるみたいな。
「着る」ことは物理的に必要であることと、前述したように、自分が何者であるかを表現することに関わってきますが、自分自身においても自己規定のような意味で、意味を持ちます。“エコロジカルな意識を持つ私”というものを、そのような衣服を着ることで自ら意識するかもしれません。そのような“私”が、そのような意識を行動に表せば、何かが変わるかもしれません。
自身のブランドを通して一番伝えたいメッセージ、あるいは表現したいことを教えてください。
背景として環境のことや様々なことがありますが、結局、かっこいい服が作りたい。それだけです。
ついでに色んなことを感じたり考えるきっかけになればいいですが。その服を着た自分のその周りとの繋がりとか。人、自然。
信國さんのオンリーショップである「13」のショップ名には、どんな想いが隠されているのでしょうか?
西洋的な迷信への疑問。4は果たして悪い数字でしょうか?
信國太志(のぶくに・たいし)
1970年、熊本生まれ。BOTANIKA, TAISHI NOBUKUNIデザイナー。
1996年、セントマーティン美術学校、修士課程修了。1998年、TAISHI NOBUKUNI設立。2005年、毎日ファッション大賞新人賞受賞。2007年、BOTANIKA, TAISHI NOBUKUNIの2ラインを展開。
http://www.botanika.jp
http://www.taishi-nobukuni.co.jp
13 THIRTEEN(13 サーティーン)
住所:東京都港区南青山5-4-44 ラポール南青山54 111号室
営業時間:11:00〜20:00
TEL:03-5778-6113
Text: mina