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B.

PEOPLEText: Manami Okazaki

実際にギリシャはグラフィティにとって適切な場所ですか?また、警察は厳しいのですか?

警察はバンダリズムと捉えているから、ペイントを施す環境は決して容易ではないよ。少しずつではあるけど、この5年程の間に建物のオーナーや通りかかる人はそれほど否定的ではなくなってきた。『OK。まぁ頑張ってよ。なかなか良い感じだし』って具合にね。

彼らは、ただ名前を書き残して去るわけではなくて、何か良いことをしていると理解してくれています。

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Let’s Draw Trees!, Green Design Festival, Athens 2008

芸術性のある壁画を描く人は沢山いるのでしょうか?それともタギングが多数を占めるのかしら?タギングはどこでも見かけるけれど。

なんでもあるよ。タギングも沢山あるし、ここ数年は一昔前のグラフィティスタイルとは一線を画すものも見かけます。

ナチス占領時代の市民戦争の時期や1967年~74年の暫定軍事政府時代に、壁には政治性の強いメッセージが書き殴られていると読んだことがあります。

アテネには、戦時中や軍事政権下の壁に書き残った政治的グラフィティの歴史があって、主として政治的な要素を含みながら始まったことであるけれど、それは90年代に広まったヒップホップグラフィティの種とは異なるもの。思うに、80年代はサッカーチームのようにチームで描くことが多かったのではないかと。

えっ、本当に?

うん、フーリガンみたいな感じにね。

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“Missing Text” – Solo exhibition

ずっと2色だけで描いてきたのですか?

黄色と黒を使い続けてきて5年が経ちます。大多数の広告を扱う他のクリエーターと比較しながら、自分のタグをロゴと感じるようになってからは、自分の作品をブランドウィルスとして考えるようになったんです。

ボーダフォンやコカコーラのロゴに比べて、同じくらいかそれ以上に野心的なことをしたかった。ロゴにブランドカラー、その全てがブランドのアイデンティティーに帰依している。そして皮肉にも自分もそれを模倣することになったんです。自身のブランドカラーを持ちながら、人々に「多国籍企業のロゴや宗教的なシンボルからでき上がった街に生きていくことなんかできない」と伝える意味で、自分の作品も同じように目立たせなくてはならない。

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黄色を選んだのはなぜ?

注意を促す標識から黄色を選びました。以前、幾つかの作品で黄色と黒のストライプを使ったことがあって、そうやって周囲の気を引くのが好きですね。それからは少しずつ次第に一つの形となっていったんだと思う。黄色を使わなくちゃ、ロゴにしなくちゃ、その中にもロゴを入れなくちゃって具合にね。普通に何かを描いてからロゴを置いて、その脇にサインを残すのは嫌だったんです。

たぶんその理由としては、街では色々と難しいことがあるから。グラフィティアーティストは溢れるほどいるから、繰り返し上塗りすることを続けていくことになるんだけど、タグを見つけて、そこにペイントを施すなら、より目立って力強いものにしなくてはならない。そんなことから、とても目立つ色と輪郭線を用いているわけです。その空間を自分のものにする為にね。

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