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ティモシー・サセンティ

「Garden of unearthly delights / この世ならぬ歓びの楽園」

ティモシー・サセンティTimothy Saccenti

ニュ−ヨークを拠点に国際的に活躍する映像ディレクター・フォトグラファー、ティモシー・サセンティ。ミシェル・ゴンドリーやトラクターなどが所属することでも有名なクリエイティブ・プロダクション「Partizan」に所属し、数々のミュージシャンの写真や映像を手掛けるなど、現実と空想の狭間にある独自の世界観をビジュアルで表現するアーティストだ。DIESEL DENIM GALLERY AOYAMAでは、ティモシー・サセンティを迎え彼の世界初となる個展「Garden of unearthly delights / この世ならぬ歓びの楽園」を8月14日より開催。自身初の個展を控えたティモシー・サセンティにお話を伺った。


これまでにミュージックビデオやアーティスト写真を手掛けられていますが、作品をいくつかご紹介頂けますか?

こんにちは!自分の好きな作品は、だいたい最新の作品になるのですが、現状で言うと、これからDIESEL DENIM GALLERY AOYAMAで展開する作品で、寓話エデンの園の現代版「Garden of unearthly delights / この世ならぬ歓びの楽園」、ビッグ・ピンクというバンドの新譜からのニューシングルのミュージック・ビデオで、セクシュアルな女性の氷像がスローモーションで爆発する様子を描いた「Dominos」、チェアリフトというバンドの映像で、若者達が現実逃避し監視カメラのモニターでいっぱいの隠し部屋へ逃げ込むという作品「Bruises」です。

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© Timothy Saccenti "Garden of unearthly delights” / DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA / 2009

過去作品で言うと、スクール・オブ・セブンベルズやビッグ・ピンクのポートレートシリーズ、フライング・ロータスによるアルバム「Los Angeles」のアートワークシリーズ、バトルズによるアルバム「Atlas」の映像とアルバムパッケージ、アニマル・コレクティブの「Peacebone」の映像ですね。


特に思い入れのある作品はどれですか?

僕の親友で、ディレクター仲間でもあるパトリック・オブライアンのポートレートです。パトリックは、ALSと呼ばれる筋萎縮性側索硬化症を患っています。この作品は、パトリックの映像DVD作品とALSへの認識を高めるキャンペーンの為に作ったものです。素晴らしいユーモアセンス溢れる彼は、ALSであると診断され後に1ミリもそんなスピリットを失うことのない並外れた性格の持ち主です。作品に写っているのは、車いすに乗ったパトリック自身で、実在する医者から栄養チューブを通してビールを投与されているというもの。面白さと、心にグッとくるもの両方がありますね。

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© Timothy Saccenti "Patrick O'Brien Portrait”


ビデオ作品や写真を手掛けるようになったきっかけを教えてください。

ティーンエイジャーだった頃は、光やその変形するパワーに興味があって、アートや音楽にもとても惹かれるものがありましたが、どちらにも器用ではなかったです。僕の描く絵は、良くて目の見えない4才の子が描いた絵と言ってもいいくらいでした。でも、写真というものを発見してから、光への興味や好奇心と、カメラという機械の助けを借りてアートを作るという望みを融合させることができることに気付いたんです。飛んで火にいる夏の虫状態となって、起きてる間は撮影するか暗室にいるという日々を過ごしました。初期の頃のPhotoshopなどが装備されたコンピューターセンターと暗室のある高校へ通うことが出来たのはとてもラッキーでしたね。これが16才くらいの話ですが、今でもその燃えるような好奇心を持っています。結果として、ニューヨークでミュージシャンの写真を撮影するプロのカメラマンになりました。それで、ミュージシャンから今度は彼らの映像を撮ってほしいと頼まれるようになったのです。映像制作をちゃんと学んだことはなかったけど、被写体についてはできるだけ多くの情熱を注ぎ、迷惑だったに違いない僕からの質問にも答えてくれた映像のディレクターや編集を手がける友人にも恵まれてましたね。


映像と写真という2つの異なるビジュアル表現をする中で共通していることはありますか?

映像作品は、単純に毎秒24フレームの集まりです。”残像”という現象を通して、途切れのないものに見えるのですが、僕は映像をスチルフレームの集合体として捉えています。ひとつの静止シーンから次へと繋ぐような流れを作りたいと思っていて、静止画の作品を一連のイメージとして捉え動きのある作品に取り組んでいます。そのため、僕の最大のハードルは編集することですね。編集や一定のテンポで彫刻するということには言葉でうまく表現できない芸術性があると思っています。僕は幸運にも、世界で最高の編集者の1人だと思っているライアン・マッケンナと一緒に仕事をしています。ライアンは華麗な編集スタイルをもっていて、拍に合わせてカットするとか、トリックを使った場面転換など、映像編集でよくある慣例は避け、まるでスケートボーダーのようなアプローチをするんです。滑らかな動きと、トランジションの際に稀に出るキック・フリップをミックスして流れるような動きを作るみたいな感じです。


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© Timothy Saccenti "Garden of unearthly delights” / DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA / 2009


今回世界初となる自身の個展「Garden of unearthly delights/この世ならぬ歓びの楽園」を開催するとのことですが、どのような展覧会になるのでしょうか。展覧会コンセプトや内容をご紹介ください。

幸運にも、DIESELとキュレーターのKimiko Mitani Wooによる協力のもと、初の個展を開催できてることとなりました。ここしばらく取り組んできたアイデアを元にしたプロジェクトですが、今回の作品は全て新しいものを展開しています。命の木から栄養を採る2人の典型的な登場人物についてのエデンの園のストーリーで、そのアイデアは、空想的な環境で撮影した2人のヌード女性を起用して表現しています。映像作品と巨大なパノラマプリントの作品を展示します。


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© Timothy Saccenti "Garden of unearthly delights” / DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA / 2009


これまでに構想してきたストーリーを基にDEISEL DENIM GALLERYでの展示のために制作された新作についてご紹介ください。また、その制作にあたりこだわったことなどあれば教えてください。

今回の新作は、かすんだ暗闇に潜む、頭を持たない2人の登場人物が、シュールなマスクを通してアイデンティティを発見するまでを追っていく作品です。2人が自分自身を確認するとすぐに、光によって種のある木のもとへ導かれ、1人の登場人物が受胎するきっかけとなる透明でゼリー状な流体をともなう交配の儀式を行います。そして、1人の生き物を産み、その赤ちゃんは、2人が新たな理解力をもって前進していくことを私たちにほのめかします。監督は私が行い、フレーム操作は、よくコラボレートするMark Szumski、マスクをコモンウェルス、アートディレクションをキャロライン・セリス、小道具や撮影をブライアン・グラフが担当しました。


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"Garden of unearthly delights” / Timothy Saccenti for DIESEL DENIM GALLERY Artist T-shirt


世界初の個展を初めて開催することになったきっかけを教えて下さい。また、今回なぜ日本で開催するということになったのでしょう?

僕が前回仕事で撮影をしに東京へ来た時、キュレーターのKimiko Mitani Wooさんに何か企画をしてほしいと頼まれたのがきっかけです。そのことは、とても光栄に思い、今回のプロジェクトの提案をいくつかしました。そのアイデアをDIESELが気に入ってくれたので、脚本にして撮影を始めました。完成までに6回撮影を行い、編集や準備に多くの時間を費やしました。ジョー・ルケーシーやラム・バートが静止画の高解像度化や、何週間も費やすこととなったマットペイントを手がけてくれました。写真の撮影や編集では、よりこの世のものとは思えないイメージ作りを心掛け、絵を描いたような仕上がりになりました。映像では、予め露出して撮影を行い、説得力のある要素を引き出すべく生っぽいテクスチャーを与えました。


日本についてどのような印象をお持ちですか?日本のカルチャーで興味あることなどあれば教えて下さい。

僕は日本の人には畏怖の念を抱いているんです。多くの素敵なアーティストやビジネスマンやいろんな職業の人に出会い、その誰もがみな特別な存在です。新旧混在した建築はとても刺激的で、特に東京はものすごく多くの視覚情報で詰まってますが、乱雑な感じや、狭くて苦しい感じはないんですよね。ニューヨークから来ている僕には、大勢の日本の友人がいるので、日本でこの国についてもっとよく理解できるのは素晴らしいです。日本の日常の中でよく見かける儀式的な面が、尊敬や敬意という経験をもたらしてくれます。また、特に若者のアートやファッションなど、日本の文化には非常に興味があります。異なる要素を取り入れることで、ある種、彼らなりのスタイルを築いていますよね。それに、ディテールへのこだわりは見事です。


NYのクリエイティブシーンについてどのように思いますか?また、世界的に活躍されていますが、NYに拠点を置いている理由も教えてください。

僕が成人してからずっと住んでいるのがニューヨークで、そこが僕のクリエイティブの本拠地となっています。また、ニューヨークには、とても強力なクリエイティブサポートの繋がりを持っています。世界中のいろんなところを旅して刺激を受けますが、新しい経験や情報はニューヨークで合成され、そこを拠点に新たなものとなって生まれます。僕の身近な友人達は、コラボレーター、アーティスト、ミュージシャンで、みんなが僕の作品に影響を与えてくれます。ニューヨークでは車を持たないので、他の地域でできるような、例えば週末に遠出するとか、魚釣りにいくとか、スキーにいくなど、趣味を持つことは非常に難しいので、仕事に打ち込むことになります。作品の制作を指導してくれるような非の打ちどころのないクリエイティブな人が周りにいて僕は恵まれていますよ。僕達は皆一緒に、生きて、食べたり、収集したり、分析したり、話し合ったり、構築したり、作ったりしています。彼ら友人達は僕の家族でもあり、そのほとんどがニューヨークにいるんです。


今後やってみたいことなどありますか?

時空連続体についての子供向け映像を制作してみたいです。


ティモシー・サセンティ「Garden of unearthly delights / この世ならぬ歓びの楽園」
会期:2009年8月14日(金)〜11月8日(日)
時間:13:00〜20:00
定休日:不定休
会場:DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA 2F
住所:東京都港区南青山6-3-3
TEL:03-6418-5323
キュレーター: Kimiko Mitani Woo / MW Company
http://www.diesel.co.jp/denimgallery

Text: Mariko Takei

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