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ビクトリー・ガーデンズ 2008+

HAPPENINGText: Mariko Takei

『アイディア畑を耕したい。』約10年前、フューチャー・ファーマーズのエイミー・フランセスチーニに将来の夢を聞いたところ、そう答えたことを今でもよく覚えている。そして今、エイミーが耕しているのは、アイディアという肥やしをたっぷり含んだ土。そこから育つのは、美味しく実る野菜や果物、そしてその循環を促す種。そう、本当にエイミーは、拠点とするサンフランシスコで土を耕し、食べ物を作っている。家庭菜園という枠を超えて、地域で取り組む「ビクトリー・ガーデンズ 2008+」というプロジェクトを紹介しよう。

ビクトリー・ガーデンズ 2008+
Garden Trike

「ビクトリー・ガーデンズ 2008+」は、エイミーが発起人となり、1年前に「ビクトリー・ガーデンズ 2007+」として開始した2年間の試験的プロジェクト。

庭、窓辺のプランター、屋根の上や使用されていない土地を利用してオーガニックフードを育て、地元産の食料の供給を増やし、他からの食料の運搬距離を減らそうというもの。庭師やそのボランティア等で活動する団体「ガーデン・フォー・エンバイロメント」とサンフランシスコ市の環境局とのコラボレーションワークだ。

ビクトリー・ガーデンズ 2008+
Bikebarrow and Pogostick Shovel

もともと2006年秋にエイミーが手がけ、後にサンフランシスコ現代美術館の2006年度SECA賞を受賞した作品をベースに発展した本プロジェクトだが、「ビクトリー・ガーデン」の歴史は60年以上も前に遡る。

家庭菜園を意味する「ビクトリー・ガーデン」は、食料不足になりがちな第一次、および、第二次世界大戦時に、食料供給を確保するために、私有、公共問わず空いた土地を利用して野菜や果物、ハーブなどを育てた菜園を指す。「戦争ガーデン」「防衛食料ガーデン」などとも呼ばれ、アメリカでは2000万もの「ビクトリー・ガーデン」が誕生、国内の野菜生産量の40%もカバーした。本プロジェクトの拠点、サンフランシスコでは、ゴールデンゲートパークがこの「家庭菜園」に利用されたという。

今年は、平行していくつかのプログラムが進行中だ。自分の持つ裏庭が茶色く寂しい様子なら、「バックヤード・ビクトリー・ガーデンズ」に申し込むといいかも。このプログラムでは、サンフランシスコ市内に15件の試験的ガーデンを設け、オーガニックフードの生産を試みる。都市部での食料供給の実現もさることながら、生産者の育成にも貢献する。この15の「家庭菜園」は、ビクトリー・ガーデンズのスタッフによるサポートつきで、複数年に渡りこの実験に参加していくそう。

実際に目で見て確かめたいなら、「デモンストレーション・ビクトリー・ガーデン」を見にいくと、もしからしたら素晴らしい発見をするかもしれない。ヘイト・アシュベリー地区に位置するオーガニック菜園から、都市に広がる小さな家庭菜園の可能性を見つけよう。

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鈴木将弘
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