デザインコンペのフロンティア

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デザインコンペのフロンティアgreenz」がお届けするグリーン・デザイン・コラム。今回は、変わりつつある世界のデザインコンペティションに注目したいと思います。

そのコンペに参加したい!とデザイナーに思ってもらうには、ミラノサローネのサテリテのような”若手デザイナーの登竜門”といったコンペのプレゼンスがまず重要です。また、世のデザイナーの興味を惹きつけるような同時代性も必要です。当たり前かもしれませんが、デザインコンペの変遷を見れば、その時代の気分がわかる。そして、最近の傾向として感じるのが、「世界を変える」というテーマに本気で取り組んでいる、ということです。


例えば、アメリカ最大のデザインコミュニティAIGAが主催するAspen Design Challenge。AIGAは日本で言えばJAGDAのような団体ですが、サステナブルデザインの情報リソースCenter for Sustainable Designを立ち上げたり「デザインの京都議定書」とも呼ばれるDesigners Accordにも積極的に協力するなど、その動きから目が離せません。

Aspen Design Challengeでは、水問題に取り組むジャーナリストや研究者が集まったNGO Circle of Blueと連携し、”第二の石油”として戦争まで懸念される水資源をどう活用するのか「Design Water’s Future」をテーマに世界中の学生のアイデアを募集しています。
画期的なのが評価基準で、単なる見栄えではなく、リサーチから仮説を組み立てて、効果的な戦略を考えるという、いわゆる「デザイン的思考」を重視する、と明記してあります。また、そのアイデアをどう伝えるか、コミュニケーションデザインも問われます。水の問題は、生活のすべてのシーンに関わることだからこそ、あらゆる角度からの提案が必要。デザイン学校の学生だけでなく、すべての意志ある学生がターゲットとなる開かれたコンペと言えるでしょう。
 
どうやったらコンペを探すの?と思った方には、デザインポータルサイトDEXIGNERが便利です。そこからいくつか注目のコンペをピックアップしてみました。

まずヨーロッパ発のPICNIC green challengeは、500,000ユーロ(約8000万円)という賞金が魅力的!
今年の応募は既に締め切りとなっていますが、 9月にはアムステルダムで受賞者が発表されます。

昨年の受賞者のIgor Kluinさんの会社Qurrentでは、なんとLocal Energy Networkと呼ばれる分散型電源のルータを開発。電気の使用量をスマートに閲覧できるソフトウェアもパッケージ化し、夢のようなエネルギーウェブの世界をいち早く提示してくれました。今年はどんなポジティブな方の未来が提案されるのか、結果がとても楽しみです。

デザインコンペのフロンティア

続いてはアメリカから、ランドスケープデザインに関するコミュニティサイトRe:VISIONが注目です。彼らが進めている「Visionary Thinkerのためのコンペティション」には、新しい価値観を支援する画期的なデザインがたくさん集まっています。著名な建築家やデザイナーの他、社会起業家であり greenzも尊敬するビジョナリーポール・ホーケンや、ホールフーズ代表のアンソニー・ギルモア氏など、知る人ぞ知る審査員が何より魅力的ですね。

デザインコンペのフロンティア

もっと参加しやすいコンペで言うと、ソーシャルデザインの参加型コミュニティDesign21があります。こちらではミレニアム開発目標を広めるための映像作品や災害時に活用されるシェルターのデザインなど、ソーシャルなテーマのコンペを随時開催。オンラインでのディスカッションも盛んに行われ、新しいコンペのあり方としても注目です。

コンペにはプラクティカルな解決策がたくさん集まりますし、もちろん即効性や実現可能性は重要ですが、現在の技術では実現が困難な提案とはいえ一線を越えたビジョンがあることも、同時にコンペの本質ではないでしょうか。ぶっ飛んだ提案からバックキャストすることで、創発的な気づきが連鎖的に生まれてくる。2、3年後には難しいかもしれないけど、10年後なら案外できるんじゃない?というロングタームな視点を、つくる側はもちろん見る側も、心しておくべきでしょう。
世界を変えるためにデザインは何が出来るのか、新しいデザインコンペにそのヒントがありそうです。

Text: YOSH from greenz

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