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ジョー・クラウゼル

PEOPLEText: Yasuharu Motomiya

音楽プロデューサー、ジョー・クラウゼル。ニュー・アルバム「Corresponding Echoes」のリリースに合わせ来日ツアーを行った彼に、アルバムについてはもちろん、音楽についての考え方、そのルーツなどについてインタビューを行った。

ジョー・クラウゼル

日本ツアーはいかがですか?

すごく順調にいっているね。まず初めに札幌のフィルモアノースというクラブでプレイしたんだけど、ミキサーを使わず2台のターンテーブルのみでプレイという、初めてのスタイルをやってきたよ。ひたすらレコードをスイッチするという今までにない経験で、サウンドシステムも素晴らしく良かったよ。全てにおいて良いツアーのスタートだったね。

今年6月に東京・西麻布にあるクラブ「イエロー」が閉店してしまうのはご存知でしたか?

うん、かなり寂しいね。イエローはもうここ12、3年もの間、東京のホームみたいなところだったからね…。

今年3月に発売された新作「Corresponding Echoes」について、簡単にコンセプトを教えて頂けますか?

このアルバムのコンセプトは、「Un.chained Rhythums」というシリーズの一作品として、「Un.chained Rhythums」はトレンドや商業的な要素を一切気にせず、自由に作り上げてきたプロジェクトで、実はこの「Corresponding Echoes」を最後に、このプロジェクトは最終章(最後のアルバム)となっているんだ。

「Corresponding Echoes」の制作期間はどのくらいかかりましたか?

アルバムそのものは一年くらいかけて作ったよ。言うならば、音楽のダイアリーのようなもの。だけどこの「Un.chained Rhythums」というプロジェクト自体、もともと決まったプランの元に進んでいたわけではなかったので、全てのプロジェクトをまとめると数年はかかったけどね。

ご自身のレーベルであるスピリチュアル・ライフ・ミュージックの最近の活動は?

スピリチュアル・ライフ・ミュージックからは長い間新作のリリースはしていないね。だけど今も新しいコンセプトなどについて動きはあるよ。今現在は別レーベルのセイクリド・リズム・ミュージックの元でメインに活動していて、「Corresponding Echoes」もそこからリリースしたんだ。セイクリド・リズム・ミュージックは言うなれば、新しいコンセプトの構想中で、現在のメインレーベルになっているんだ。

ジョー・クラウゼル

ご自身のバイオグラフィーやサウンドに触れてみますと、「スピリチュアル、宇宙観、宗教的」と言ったワードが感じ取れるのですが、ご自身の音楽観において何か強い概念を持って制作しているのでしょうか?

ただ単純に、私が深い音楽の知識の元で育てられたからだと思ってて、両親からの教育やしつけもそうだけど、音楽を聴くという行為そのものを、とても自然に受け入れてきた。そしてその深い感覚経験の元、音楽を感じ、聴き取るという能力そのものが身に付いたんだ。

また音楽はこの世界において、とても力強い存在であるとも思うね。それは無限であり、宇宙空間の一部分であるとも…。リズムという音楽は偶然には生まれないと思うし、それはもっとコズミック(無限な)ものであると思う。スピリチュアルな面で言うと、音楽というものは、私たちがこうあるべきであるという「真実のメッセージ」であり、音楽こそ人々をつなぎ、私たちの思いをつなげてくれる存在だといつも思う。

ご自身の音楽制作において、インスピレーションを与えられた人やものはありますか?

それは「ライフ(人生)」「人生の勉強」だね。「音楽を作ることがかっこいい」なんて今まで思ったことは全くないからね。音楽を作る、それはただ偶然的に起こった事で、今まで一度も「DJになりたい!プロデューサーになりたい!」なんて思ったこともない。全ては偶然に、自然な流れで今まできました。そして私は音楽というものをとても真摯に、真面目に受け止めている。音楽を宗教や礼拝などと比べると、宗教もある意味人々を呼び集める行いかと思うけど、実際ではそうではなく、多くの人種差別も伴うと思うし。

だけど音楽は違う。音楽を通じ、わたしたちは橋のような役割としてあらゆる文化や人種を繋げることができる。音楽には宗教よりも強大なパワーがあると思う。そして地球のリズム、鼓動というものが、我々のつくる音楽そのものだと思っている。耳で聴き、肌で感じる、それが私の作るミュージックスタイル。私達は音楽というリズムに囲まれて生きていてそれは同時に音とリズムというものが我々の住む地球において、支配的なパワーを持っているということだと。

ご自身が全く音のない、無音状態で生活することを想像できますか?

想像はまずできないね。音がない状態でも私達はサウンドを持っているから。この世界で何処にもないでしょう、我々がリズムというサウンドから逃避できる場所は…。

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