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カルロス・J・ゴメズ

PEOPLEText: Kyoko Tachibana

今月のシフトカバーをデザインしたのは、med44名義で活動する、カルロス・J・ゴメズ。彼は、ウェブでの作品制作や、インスタレーション作品など、様々なメディアを使って、作品とそれを鑑賞するものの様々な関わり方を模索し続ける。

この数年間に渡り、色々な展開を見せている彼のプロジェクトについてカルロスに話を聞いた。

Carlos Javier Gómez

はじめに、自己紹介をお願いします。

本名は、カルロス・ジャヴィエール・ゴメズ・ドゥ・ラレーナ・フィゲレードといい、これよりまだ続く長い名前です。ベネズエラのカラカスで生まれ、ここ8年間はニューヨークに住んでいます。

メディア・アーキテクトとして活動していますが、この言葉は、私の活動や興味のある分野をほぼ言い表していると思うので、そう呼んでいます。もともとは建築の分野にいましたが、テレビ局などの放送局やデジタル広告、インタラクションデザイン、クリエイティブディレクションなどの分野で働いていました。

ウェブや映像、インスタレーション、ゲームなど、様々なメディアを使って作品を作っていますね。代表作を紹介してください。

建築学校に在籍していたころから、ニューメディアを使った制作を始めました。その時は、映像、建築やビデオ・アートなどそれぞれの分野が重なるものに興味を持っていて、それが私の卒業論文の題材になりました。1997年に自分の出身の都市に関するビデオモザイクを作ることを考え始め、鑑賞者を取り込むアート・インスタレーション作品として、美術館に提案しました。その結果が「ヴィジョナリーCCS」という作品で、3ヶ月かけて撮影し、制作は全て自ら行いました。

Carlos Javier Gómez
Videopsychosis (video / animation, 1998)

その後は、アニメーション、作曲、サウンドデザイン、VJセットのためのループ映像作りなどに取り組みました。ビデオゲームや撮影した映像を使って2Dアニメーションのミックスなどのパフォーマンスをレイブなどで始めました。当時自分が影響を受けていた有名な視覚文化の理論家の引用文と共に、このようなループ映像を同時に流す、「ビデオサイコシス」という短編映像を制作しました。

Carlos Javier Gómez
Parallel Space (video, 2001)

2000年にニューヨークに移り、ニューヨーク大学のインタラクティブ・テレコミュニケーションズ・プログラム(ITP)で学びました。その時学んでいたインタラクティブ技術と、私が今まで培ってきたものと、どのように組み合わせることができ、そこから発展していくのかに興味を持っていました。ウィリアム・J・ミッチェルの著書で、技術やテレコミュニケーションやアーバニズムについて読んだり、当時講師の一人だったアンソニー・タウンゼントが行っていた研究によって、将来は、ユビキタスコンピューティングも建築家の道具になるだろうということに気づかされました。これにより、建築物で構成された環境や社会的関係における私たちの捉え方が変わる空間を創りだすことや、そのようなデザインが可能になるのです。その時に、これを「メディアアーキテクチャー」と考え、データによって構築されている都会的インターフェイスや建築物などを想定した、「パラレルスペース」というビデオ作品を制作しました。

Carlos Javier Gómez
Swipe Wall (installation prototype, 2002)

修士課程での残りの学生生活は、これらのアイディアを実際の場所で試みることに集中し、「スワイプ・ウォール」など、メディアアーキテクチャーの試作品をいくつか制作しました。スワイプウォールは、地下鉄のホールで、地下鉄を利用する人たちが、壁に設置された立体物にある溝にメトロカードを通すことにより、自然と音楽を作りだすことができるというインスタレーションです。「ベクトリアル・サウンドスケープ」や「スコープ」では、地下鉄の駅、ロビー、美術館の反対側の道などの公の場に対する一般的捉え方にチャレンジするものです。ITPでは、建築の学校では学ぶ事ができなかったグループで共に活動することの大切さを学び、その後の自分のキャリアで色々な分野に渡ったコラボレーションをするきっかけとなったプロジェクトに、関わることができました。

Carlos Javier Gómez
Node Runner (wireless urban game, 2002)

修士課程を終える際に、アートのワークショップのため、ワイヤレス・インタラクションに関する屋外の都市規模プロジェクトを制作する機会がありました。2002年当時、ニューヨークに次々と設置されていた、新しいWi-Fiホットスポットを利用したゲームを制作するというのが案でした。ワークショップの主催は、アイビームとNYCワイヤレスで、同じくワイヤレス、都市、ゲームデザインに興味があり、以前一緒に仕事をした事もあるユーリ・ギットマンと、このプロジェクトのため手を組みました。そこでできたのが、「ノード・ランナー」で、2時間ごとに1番のホットスポットと繋がるというレースを2組に分かれて行うというゲームです。チームメンバーは、出発地点から終点までレースを行う間に、ホットスポットがある場所の写真を証拠としてブログに掲載しなければならないというもの。

同じ年に、私はR/GAで働き始め、ナイキ・ラボというナイキの新しいプロジェクトに関わっていました。私が始めた時は計画の段階でしたが、その後会社がそのプロジェクトを勝ち取り、私は2002年から2004年に発表された、異なる4種類のナイキ・ラボのインタラクションデザインをする事となったのです。

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